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2008年5月 1日 (木)

群馬音楽センター

Photo 群馬音楽センターを建て替える検討をしていることが、先日、高山奇人さんより聞きました。東京新聞3月3日付の記事によると、高崎市は「新芸術文化ホール建設検討会」を発足させ、建て替えを含む検討をしたとのことです。しかし、同市が主催したシンポジウムでは、建築関係者を入れないで行われ、建て替えに賛成の意見が多かったと言っているようです。

今の建物のどこが不都合なのかは、記事によると、音響の悪さ、空調の不備が問題であると言っています。しかし、耐震性には問題がないとのことです。

どうも、この記事を読んでいると、なにか陰で、見えない意図が隠れているようです。まず、群響からの音響が悪く、その原因は天井の低さにあるといっていることです。これは、音響の専門家の調査によって判定したことなのでしょうか。それとも、単なるおもいつきなのでしょうか。これは、現代の技術をもってすれば、建て替えなければならない理由にはなりません。躯体を維持したままでも十分に改修の可能性はあります。もうひとつ、同様に空調の不備という問題も建て替えの理由になりません。現に、空調用の円形の建物を背面に、以前の改修工事で建てています。

つまり、早稲田大学33号館のように耐震性に問題があって、耐震補強だけでは、外観をいちじるしく変更しなければならない、というような状態ではないということなのです。ある程度外観を現状のままで改修が可能ということに他なりません。

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レーモンドの設計した折板構造の建物は非常にめずらしい建物ですし、技術的にも注目に値する工法です。設計、構造計算、施工技術の三者が協力しなければ、できない建物です。この技術力のすばらしさは、十分に伝承に値する建物だとおもいます。

もうひとつ、重要な問題は、この群馬音楽センターは高崎市のお金だけで作られたものではないということが、市の文化課長はわかっていないことです。この建物の建設費の1/3は、市民の寄付によっているのです。寄付というのは、ただでお金をくれてやったのではありません。いはば、群馬音楽センターの維持のための株券を買ったようなものなのです。投資した株主を抜きにして、どうして壊すなどという話が決められるのでしょう。壊すのなら、株主の意見を聞くのが、市担当者のするべきことでしょう。

さて、土建専門協力会社の専門家として、今の建物を見てみると、正面のガラスカーテンウォールは、確かに改修の必要があります。というのは、1978年に起こった宮城県沖地震以後、耐震規準の見直しがおこなわれているからです。音楽センターの窓硝子は複層硝子でパテ止めです。宮城県沖地震の報告書によると、はめ殺し窓のパテどめが硝子の破損で一番多いという報告がなされています。それ以後、はめ殺し窓のパテ止めは、施工されていないはずです。となると、正面カーテンウォールはサッシごと改装ということになりますが、早稲田大学33号館のように、アルミにすると、見付が太くなることと、現在のようにブルーの色はアルミではむずかしいということがあるかもしれません。そこは、目をつむるか、早稲田大学旧図書館のように、スチールサッシで復原し、手入れを小まめにするかの選択になります。

いずれにしても、躯体そのものが、十分もつものならば、いくらでも改修してつかえる余地はあるということでしょう。それを決めるのは、市の文化課ではないということです。

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建築」カテゴリの記事

コメント

どうも、小生ばかりで恐縮ですが、地元高崎のことなので、書き込みさせていただきます。
「建設検討会」が発足したということは、市の内部では、かなり事態が進んでいるということです。財源の措置や、議会の承認の見通しが付いているのです。
ただ、最近の風評では、やはり、音楽センターを壊すのは不味い。
という意見が優勢になりつつありますから、結局音楽センターはこのまま残して、他の場所に音楽ホールを建設するということになりそうです。

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