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2008年5月22日 (木)

掲載予定文献から

Photo  いわゆる科研費の論文集です。というよりも、調査報告書です。めったに人目にふれません。京都鳥羽の安楽寿院の総合調査報告書です。仏像の悉皆調査報告が京大の根立研介氏によって書かれています。安楽寿院といえば、胸に卍の文様がある平安後期の阿弥陀如来坐像が有名です。また、奈良国立博物館に寄託されている、10世紀の宝冠阿弥陀如来坐像も有名です。それ以外、というと、京都国立博物館の庭にある阿弥陀三尊の石仏があります。これは知らないでしょう。報告書によると、寺には、ほかに2基の三尊石仏があり、合計3基の三尊石仏が存在することになります。その他、平安末期の不動明王などがありますが、概ね、それ以外は江戸期の仏像のようです。

 

 

 

Photo_2 京都は、京都国立博物館でも、毎年のように寺院1箇所を決めて、悉皆調査をしているようです。(ここ2~3年はしていないようです)。また、以前紹介したように、大学で、寺院ごとの悉皆調査をしているようです。関東地方でやっているような、地域ごとの悉皆調査よりも、寺院ごとの調査のほうが、効率がいいのでしょう。しかし、京都は、まだまだ、未調査寺院がやまのようにあるはずです。すこしでも、さまざまな、機関で、調査が進むことを期待しています。

ところで、この、科研費の報告書は、非常にくせものです。国会図書館は、この本をいま、すべて、関西館に集約しています。従って、その題名がわからなければ、東京で、見られません。インターネットで調べるにしても、例えば、この研究代表者の上島享氏は美術史学者ではありませんので、美術の分野に入っていません。なかなか見つけられないでしょう。

しかも、たとえ、この報告書に彫刻の報告があるとわかっていても、国会図書館では、論文の半分しかコピーできません。論文の半分を読んで、あとどうするのでしょう。結局、この論文は誰も読んでいないということです。それで、科研費をつかって公開しました。税金をこのように有効に使いました。という理由になっているのです。

報告書に執筆している人は、これでいいのでしょうか。お金をもらって、一応その成果を公開したのだからそれでいいじゃないかということなのですか。

これって、何のための公開ですか。少ない金額で、活字にして残すのですから、できるだけ多くの人に読んでもらう環境をつくるのが、執筆者のやることではないでしょうか。一部では、HPで、その成果をすべて公開している研究者もいます。これも、ひとつの方法です。その他にも、文化庁は『自由利用マーク』という制度を公開しています。これは、このマークを本につければ、誰でもコピー可能になるというものです。著作権の有効利用として、画期的なのですが、一度もそのマークがついている本を見たことがありません。明らかに、文化庁の怠慢です。制度を普及させる気がまるでないのです。

もうひとつ、科研費の報告書を読んでもらう方法があります。目次の論文執筆者の署名をしないことです。署名をしたいのなら、論文の最後にカッコつきで署名すればいいのです。国会図書館のコピーを強権的に検査する人は、署名論文は半分以下でないとだめですが、署名がなければ本文の半分以内ならば、コピーOKにしなければならないのです。ですから、報告書の執筆者は署名論文にしないでください。そうすれば、きっとさまざまな人に読んでもらえるでしょう。

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