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2009年9月

2009年9月23日 (水)

石見・島根・鳥取旅行

9月21日から23日まで旅行をしてきました。今回の旅程は以下の通りです。

  • 21日
  • 羽田空港→萩・石見空港→バスで益田駅
  • 雪舟の郷記念館→グラントワ(石見美術館)で「千年の祈り 石見の仏像」展
  • 益田から特急で出雲市へ→一畑電鉄で大寺駅へ
  • 大寺薬師→一畑電鉄で松江しんじ湖温泉駅へ
  • 島根県立美術館・・・曇のため今回も日没はだめだった。
  • 22日
  • 松江駅でレンタカーに乗り、中海沿いに美保関へ
  • 佛谷寺→美保神社
  • 弓が浜付近のアジア美術館・井上靖記念館へ急拠入館
  • 大山寺霊宝閣→本堂→阿弥陀堂
  • 帰りにまたまた急拠、淀江町歴史民俗資料館→上淀廃寺跡へ
  • 足立美術館
  • 神魂神社→八雲立つ風土記の丘展示学習館
  • 松江駅よりサンライズ出雲で東京へ

Photo 飛行機からは雲海から富士山が覗いていました。

 

 

 

 

 

 

Photo_2 島根県立芸術センター 通称『グラントワ』と言うんだそうです。石州瓦をふんだんに使っています。

「石見の仏像」展は34件の出品で、こじんまりしてはいましたが、よくまとまっていました。

 

 

 

 

Photo_3 大寺薬師は40年前に一度訪れたことがあります。その時はこんな立派な収蔵庫はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

Photo_4 一畑電鉄 大寺駅 無人駅です。

 

 

 

 

 

 

Photo_5島根県立美術館は、入るつもりはなかったのですが、屋根の丸く空いたところにある展望台にあがりたくて入ってみましたが、景色はよくありません。おまけに曇空で日没はだめ。

 

 

 

 

 

Photo_6  境水道大橋はすごい橋です。手前の緑の車は今回のレンタカー。よく目立って、駐車場に置いてもすぐ見つけられて、大変重宝しました。

 

 

 

 

 

 

Photo_7残念ながら、伝虚空蔵菩薩立像が来月に三次市の広島県立歴史民俗資料館で行われる展覧会のため、出陳中でした。来月広島へ行かなければいかないのかな。円空・木喰展も三次市で開催されているようだし。

 

 

 

 

 

Photo_8 大山は霧がかかって、弱い雨が降っていました。大山の全容は見られるべくもありませんでした。霊宝館には金銅仏など10数体あり、阿弥陀堂まで、がんばって歩きました。シンドイ!

 

 

 

 

 

Photo_9  上淀廃寺はかなり変わった伽藍配置をしていました。塔が3つもあり、おまけに南北に並んでいるとは。しかも、傾斜地に建てられています。ちょっと想像がつきません。3つともすべて塔なのかな?

淀江町歴史民俗資料館には主な壁画と塑像が展示してありました。その中で衣文残欠があり、説明では飜波文があると書いてありました。ほんとかな?

 

 

 

Photo_10 足立美術館の庭は絵を見ているようです。ガラス越しに見るせいでしょうか。

それにしても、こんな平坦地に、こんな庭を造るとは。

おまけに、また新館を建設中。そうとう美術館商売がうまくいっているようです。

 

 

 

 

Photo_11 神魂神社はやはり国宝だけあって、すばらしい神社建築です。その後、すぐ近くの風土記の丘資料館へ、

車の走行距離 155km

 

 

 

 

 

Photo_12帰りは「サンライズ出雲」のB個室寝台です。南亭琴音弥氏に切符を取ってもらいました。以前、A個室寝台に乗ったことがありましたが、それほど違いはないようでした。今回は疲れた帰りだったので、グッスリと寝られました。

2009年9月19日 (土)

展示照明手法

 博物館・美術館で、展示用にガラスを使います。一般には、展示物と見学者との隔てに使われています。それは、展示物の埃や落下物の保護、および盗難防止のためとされています。その要求を満たすガラスは、すでに存在しています。強化ガラスおよび合わせガラスです。展示物の歪曲の無い正確な表現はフロート硝子の開発によってガラスの表面が平滑になり、その要求もみたされています。しかし、展示物と見学者の間にガラスがはいったことで、まださまざまな問題が解決されていません。
1 展示物の形状、色、色彩の正確な表現及び観察に支障をきたす。
2 展示物が光の表面反射によって、見学者の観察の妨げになる。
PhotoPhoto_2  いわゆる一般の透明硝子は微量の鉄分がはいっているために、青色を帯びています。新しい硝子の小口をみれば、濃い青色をしています。この問題を解決するために作られたのが『高透過硝子』(旭硝子の商品名は「ミュージアムガラス」から「クラリティア」に変更)です。硝子の製造段階で、鉄分を抜いて作られた製品です。この硝子が博物館で初めて採用されたのが、福島県立博物館でした。早稲田大学會津八一記念博物館の1階の展示室硝子も、このガラスを使っています。当社の施工ですから間違いありません。透過率が普通のガラスより5%いいという程度なので、比べて見ないとその違いは素人には判別できません。これは、ガラスだけではなく、照明器具の色温度にもよります。展示物は太陽光に近い5000K程度が適しているようですが、最近の照明は紫外線、赤外線の問題を重視する傾向のため、色温度を落としているようです。光源の種類によってその特性があるので、最善の方法はいまの時点ではないようです。

Photo_3Photo  硝子の反射を低減させる、『低反射硝子』も博物館・美術館での使用に有効として、開発された商品です。これは、写真用レンズですでに実用化された技術で、大きな板硝子にもできるように開発されたものです。その技術はガラスの表面をCVD(化学式蒸着装置)で、チタン化合物をコーティングするものです。これによって、普通ガラスのおよそ1/8の反射率に低減されたガラスです。しかし、ガラスの映り込みがなくなるかというと、そうでもないようです。メーカーのカタログにはこの低反射ガラスの入射角度別光学特性のデータがないので、斜めから見たときどのくらい反射するのかはわかりません。いずれにしても、全く反射しないわけではないので、照明器具の位置は充分に配慮すべきです。

Photo_7

 さて、光源が展示物やガラスに映り込まないようにするためには、光源設置の位置の検討が必要です。一般的には、上のような説明がされています。しかし、この条件では、見学者はガラスの近くによって見ることができません。また、展示物が掛け軸のように、高い位置からつり下げられた場合、見学者は顔をあげると、反射光が目に入ります。この図面はあくまでも参考であって、個別に照明計画を策定する必要があります。

Photo_6 まず、見学者の見る範囲をどこまで想定するかを、確定しなければなりません。絵画であっても、遠くから全体を見る場合と、近づいて筆の線を見る場合があり、両方とも、映り込みがないのがベターなはずです。
このような、展示物の種類、それを見学者はどのように見るのかの検討が必要です。
と、ここまで書くと、おそらく実際に携わっていた人は、そんなことまでできるはずがない。あちらたてば、こちらたたずで、しかたなく妥協しているのだ、というでしょう。そう、もうできてしまった箱物のなかでは、実際にできることは限られてしまうでしょう。しかし、いままで見てきた展覧会で、これはよく考えたという展示方法がありました。

ひとつは五島美術館で数年前開催された「牧谿展」でした。この美術館はガラススクリーンが対面しており、どうしても反対側のガラスの照明が映り込んでしまいます。それで、展示室の中央に黒いブラインドを設置したのです。これによって、反対側の照明器具の映り込みがなくなりました。

もうひとつ、2~3年前日本民芸館に行ったときでした。特別陳列室にはいると、そこには、3方に低いガラスケースが並んでいましたが、ケースの中の照明以外すべて消され、窓も塞いでいました。おまけに、入口には前室を設けて、動線を90度まげて、入口からの光をシャットアウトしていました。中にはいると、ガラスケースの中の光のみですので、映り込みが全くありませんでした。

この2つの例は、展示物がおなじ種類で大きさも統一されているために可能になったのでしょう。展示物の大きさにばらつきがある場合はむずかしいかもしれません。いはば、汎用の展示スペースを展覧会ごとに改造するには無理があるのは理解できますが、それにしても、見学者がどういう視線をもって見ているかの想定ぐらいして、もうちょっとのきめ細かい工夫をして何とかならないものでしょうか。

2009年9月13日 (日)

横浜開港記念会館ステンドグラス(改修後)承前

 ステンドグラスの両面になぜ透明ガラスを嵌めたのでしょうか。その理由を想像すると、地震や汚染、打撃から守るため、ということだとおもいます。果たして、そのガラスはそういった機能を有しているのでしょうか。ほかに問題が出てこないのでしょうか。この問題を検証してみようとおもいます。
Photo  まず、このガラスは耐震性能があるのでしょうか。前のブログの最後のことろで、JASS17についてお話ししましたが、すくなくともJASS17の規程どおりでなければ、耐震性は確保できません。また、このガラスは強化ガラス10mmだそうですが、強化ガラスというのは面強度は普通ガラスの3~5倍ありますが、地震のような強大な応力には対応できません。むしろガラスは、もし割れたとき最小限の被害ですませることを主眼に置くべきです。とすると、強化ガラスは破損したとき、細かな破片になって落下します。割れた時の安全性には問題があります。つい最近三菱商事ビルで硝子が落下したのも強化硝子です。割れても落下しない合せ硝子が有効なのです。しかしこれだけの大きさですと、板のゆがみは我慢しなければなりません。もっとも、強化ガラスもゆがみがでるので、ゆがみに対しては同じですが。
 また、地震の揺れの方向に対しても、問題があります。ガラス面に直角に横揺れが生じた場合、透明ガラスとステンドグラスの間に隙間があったのでは、ステンドグラスを保護することにはなりません。むしろ、透明ガラスはステンドグラスに密着しなければ、耐震の意味がありません。

 

 
Photo_2  外部の打撃から有効なのか、という問題も同様です。強化硝子といえども割れないわけではありません。強化硝子は厚さのうちの外側1/6が圧縮層、内部の2/3が引張層になっていて、そのバランスで強度を増している硝子です、ということは、10mmでいえば、およそ1.7mmの深さの傷が発生するとそのバランスがくずれ、全体が細かく破損して落下します。つまり、たまたまガラスのそばに近寄った時に破損してガラスをかぶる危険があるのです。もっとも細かな破片なので致命傷にはなりませんが。
 汚染から守るという理由はもっともな理由です。しかし、それよりもこの工法はステンドグラスを両方のガラスで密閉しているように見えますが、実際は穴だらけです。透明ガラスは外部からシーリングで施工しています。しかし、木枠と押縁の間にはシーリングが施工されていません。しかも、コーナーの継目にも何もしていません。木は時間の経過とともに、いわゆる“やせ”が生じます。つまり隙間ができるということです。

 

 

 

 

Photo_4 むしろ両面にガラスを施工すると、結露対策が一番の問題になるのです。このような密閉した内部は、ピンホールができて外気が入ったとき、湿気も入り、内部結露を生じさせます。それが時間の経過とともに、ガラス面に結露の痕跡としてのシミが残るのです。こうなると、ガラスを外さないと、拭き取れません。こんな事例は、複層ガラスではよくあった事故例です。(上写真は群馬音楽センターのカーテンウォール。白くなっているのが内部結露した複層硝子)それに対する対策は松本ステンドグラスのサイトに詳しく掲載されているので、改めてここでは書きませんが、この施工例では結露対策は考慮していなかったのでしょう。もっとも、内部なので、温度差を考慮しなくていいので結露はおこらないという判断だったのでしょうか。
Photo_3  最後の問題は、透明ガラスを入れたことによる、ガラスの映り込みです。見る位置によってちがいますが、照明器具などが映りこんで、全体が見づらくなってしまうことがあります。(左の鳳凰のステンドグラスの下部に照明器具が映っています。)これは、博物館の展示ケースで以前から問題になっていたのですが、それに対する対策に関心がいまひとつありません。この問題に見学者は実に鈍感です。ガラス越しに見る美術品が映り込みでよく見えないのにおかしいとおもわないのです。展示者もいかに最良の状態で見せることを主眼におかなければいけないのに、実に無頓着です。一時私は博物館に行くとき、黒い紙を持っていったことがあります。ガラスケースの前で、その紙で照明をさえぎって映り込みを防いだのです。でも、他の見学者に迷惑がかかるので、もうやめましたが。
Photo_5  透明ガラスは透明ではありません。多少の色がついています。さらに透明ガラスの可視光透過率は10mmで86.7%、反射率7.5%です。しかしこれは入射角0°の場合です。一般的に入射角度が60°より大きくなると反射率が大きくなります。たとえば、透明フロート硝子10mmの場合、入射角60°では、反射率が35%にもなります。つまり、斜めからみると透過率が落ちて照明器具などが映り込むのです。斜めから見た位置に照明器具を配置しないといった、内部の照明器具の配置計画をしないと、映り込みはなくならないのです。その内部空間の全体的な設計的配慮が必要なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

Photo_6 また、旭硝子は「低反射ガラス」という製品を出しています。これは、映り込みをできるだけ少なくするという製品です。これとても、反射率は1%です。映らないわけではありません。また高透過ガラスというのも製品としてありますが、10mmでは透過率91.3%、反射率8.3%です。普通のガラスにくらべて無色に近くなっているので、もとの色に近い状態で見ることはできますが、それとて、ガラスがない状態で見るのとは見た目に、はっきりとわかる差があります。
 ステンドグラスの製作者はその作品をできるだけ、オリジナルの色で見てもらいたいと願うはずです。ガラスを通して見て、果たしてオリジナルな色が見られるのでしょうか。この問題に対して、製作者は実に簡単に妥協してしまっているように見えます。

2009年9月12日 (土)

横浜開港記念会館ステンドグラス(改修後)

Photo  以前から気になってしょうがなかったことがありました。去年の9月24日付で『横浜開港記念会館ステンドグラス』と題してブログに掲載したことです。その時はステンドグラスの改修の途中で、改修の工程を見学しました。その後、今年の3月末日に完成し、元の場所に取付られ、完成記念講演会も4月26日には開催されたそうです。残念ながら、講演会も完成したステンドグラスの見学も行く機会に恵まれませんでした。それで、やっと時間がとれた機会をつかんで行ってきました。まずは、完成後のステンドグラスの状況の把握からです。

 

 

Photo_2Photo_3  建物の中に入ると、ボランティアの解説員が中学生相手に解説をしていましたが、それをすりぬけて2階にあがって、まず最初の印象は、確かに以前の改修前の黄色っぽいよごれた感じはなくなりました。しかし、どこか白っぽい印象でした。それは、すぐにわかりました。ステンドグラスの前に透明硝子が嵌っていたのです。私の杞憂があたりました。そのことについては後ほどくわしく述べますが、次に気になったのは、補強材がやけに目立つなと思いました。裏にまわって見ると、補強の丸棒が以前より太く、数多く縦横に入っていました。なるほど、去年の講演会でこの修復作業をしている平山健雄氏の言っていることとは、こういうことだったのかと合点がいきました。しかし、この修復方法はさまざまなことで問題があります。以下くわしくその問題点を述べようとおもいます。かなり専門的になりますがご勘弁を。

 

 
Photo_4Photo_5  まず、この改修の工程は、くわしくパネル展示されていましたので、そのことについては、問題があるわけではありません。もとにもどした時、改修前と改修後にどのような違いがあるのかは、目視だけではわからないことがありますので、そのことは、しっかりと報告はしてほしいのです。それが報告書という形で出されるにしても、どういう判断をしたのかという事実をしっかりと記述して後世に残してほしいのです。
 完成したステンドグラスパネルの補強方法及び、木枠に嵌める方法について、改修前と相違があります。このことについて、いまのところパネルにも説明がありませんでした。それで、どのような改修計画で、どのような施工方法だったのかは、現時点では想像するしかありません。
Photo_6Photo_7 まず、補強方法について、左右のステンドグラスは、縦3~4本、横3本の12~3mm程度(以前の補強材は9mmの真鍮だったと言っていましたのでそれよりも太い丸棒)の補強材が入っています。しかもその補強材の縦横を溶接して、いはば格子状にして、四方の木枠に固定してあります。つまり、完成したステンドグラスパネルを取り付ける工程としては、まず、木枠に固定した補強材の枠をビスで固定します。つぎに、4分割されたステンドグラスパネルを下から入れていきます。そして、パネルの鉛桟の補強材の位置に予めハンダづけした針金を補強材に結んで固定していきます。そして、4段のパネルをくみ上げてそれぞれ、針金で補強材に固定します。その後、透明硝子(サイトで調べると、強化硝子10mmだそうです)を両面に嵌めています。ステンドグラスを木枠で両面固定しているので、透明硝子はステンドグラスに密着していません。以上のようです。

 

Photo_8  さて、この施工法は充分に耐震性を考慮した方法なのでしょうか。まず、地震で硝子が破損する条件については、いままでの大地震の度に検討され、建築基準法も改定が行われてきました。このステンドグラスの施工法はその経験が生かされているとはいえません。いままでの地震の経験から、導き出された施工法とは、ガラスは割れ物である。よってガラスに応力を加えてはならない。よってガラスは枠に固定してはいけない。というのが基本です。これは、昭和53年におきた宮城県沖地震が教訓になっています。そのとき、はめ殺し窓のパテ施工のガラスが数多く破損し落下しました。それ以後、建設省告示により、はめ殺し窓には弾性シーリング材を使用するように改められました。つまり、地震における層間変位に対応するには、ガラスを枠の中で固定しないで、エッジクリアランスを充分に取ることが最善の方法であることが明記されたのです。

Photo_9 それで、Bouwkamp(ブーカム)理論とよばれる計算式によって、安全なエッジクリアランスを算出できる方法を確立させたのです。
 このステンドグラスの施工法はこういった経験がいかされているのでしょうか。ステンドグラス自体はある程度枠の中で動くようになってはいますが、ステンドグラスを固定する補強枠が問題です。この補強枠は開口部の変形に対応できません。つまり、地震がおきて枠に層間変位がおきたとき、補強材がまず変形します。すると、補強材に止めていた針金が引きちぎられるか、またはパネルに応力がかかり、パネルがそれによって変形しガラスが破損するということになります。つまり、パネルは枠の中で固定しないという基本的なことがなされていないのです。
Photo_10  それでは、どういう施工法がベターだったのでしょうか。まず、格子状の補強がこの大きさのステンドグラスで必要なのでしょうか。おなじ建物の階段室のボーハタン号のステンドグラスは縦に1本のフラット棒を使っていますが、それは枠には固定されていません。もっとも横幅が違うので、一概にいえませんが、こんなに太い補強材が必要だったのかはもっと検討するべきだったと思います。見た目も改修前とは違ってくるのですから。さらにその格子状の補強材を木枠で固定したことが問題です。これには、実にいい教訓があるのです。

 

 

 

 

 

Photo_11 ガラスブロックの施工法です。昭和50年代までは、ガラスブロックの補強筋は躯体に固定していました。ところが、それでは地震による変形に対応できなくて、破損の事故が多発したために、施工法を改良したのです。今行われている施工法は枠のなかにガラスブロックを積むことを原則とし、鉄筋は枠のなかで固定しないですべるようにしたことです。これによって、地震によるガラスブロックの破損事故が激減しました。
もうひとつ、硝子の施工法は『JASS17 ガラス工事』(建築工事標準仕様書)によって、詳細に規程されています。それによると、ガラスの破壊防止のためには想定する地震の層間変位に対応するために、エッジクリアランスの寸法が規程されています。ステンドグラスについては書かれていませんが、外側に嵌めたガラスが10mmとすると、エッジクリアランスは10mm、ガラスのかかりしろは12mmと規定しています。ということは、四方押縁で固定してあるので、押縁の高さは少なくとも22mm以上なければいけません。実際は20mmの木の押縁でした。
 あまり長くなってしまったので、ステンドグラス両面に嵌めた透明ガラスについては、次の機会に詳細にお話することにします。

2009年9月 3日 (木)

仏像盗難の顛末

 先日のブログで、NHKの“クローズアップ現代”の放送で仏像盗難の特集をしていたことを書きましたが、その後、ある人からメールをいただきました。曰く、このNHKの放送の中で、盗まれた黒滝村の権現堂の蔵王権現立像を見て、すぐに京都のあるオークション会社のカタログに写真が掲載されている仏像と同じと直感したそうです。それで、黒滝村役場にすぐに連絡をいれたそうです。

今日の産経ニュースによると、山添村の自作寺から4体の仏像を盗んだ疑いで男を逮捕する方針と書かれています。さらに、5月に中吉野署に被害届が出された黒滝村の権現堂の蔵王権現立像が京都市内のオークションに出品され、捜査を進めた結果、この男の関与が浮上。自作寺から盗まれた千手観音像などを京都市内の古物商に転売していたことが判明したという。県警はこの古物商から、男が売った仏像計20体を押収している。ということです。

これで一件落着ということなのでしょうか。NHKのニュースの映像を見てみると、確かに押収品の中に、蔵王権現像があります、しかも、天衣と光背がとれて、像の前に置かれています。

以前このブログで紹介した『黒滝村の仏像』に掲載されている蔵王権現像は、光背、天衣もついていました。ところが、オークションのカタログの写真では、その天衣もはずされ、光背もありませんでした。NHKの映像とおなじ状態のようです。

この押収品の蔵王権現像はあきらかに盗まれた権現堂像です。ということは、記事によると、京都の古物商は盗品と知らずに購入してオークションにだしたということになります。

盗まれた権現堂像が載ったオークションのカタログは4月16日には発行されたようです。ということは、すくなくとも、カタログ出版以前のかなり前に盗まれたことになります。しかも、それがばれないうちにすぐに、古物商に売却したようです。

まだこの段階で、この事件の問題点を論評することは危険がともないますが、あえて、疑問と問題点をあげてみます。

まず、盗まれたと判明した時期があまりにも遅すぎました。これは、仏像を管理する側にも問題があったと言われても仕方がない部分です。

つぎに、古物商はなぜ仏像を購入したのでしょうか? 盗品でなければ、善意の所有者になってしまいます。そんな簡単に盗品と知らなかったといえるのでしょうか?また、盗品と知らなければ、オークションにだしても構わないのでしょうか?これは実にもっともらしい“いいわけ”です。

古物商といういはばプロが盗品と見抜けないというのは、どういうことでしょうか。まるで自分が見る目がないといっていることと同じです。道義的に恥ずかしいと感じるのが普通でしょう。

とくに、仏像はいわゆる頻繁に流通にのるものではありません。書画骨董とは違って、必ずその由来があるものです。すくなくとも、どういう経路を経てきたのかの追跡はできるはずです。古物として流通するいわゆる骨董品というものは、以前の所蔵者の名を伏せるのが常識になっている、という商慣習があるようです。しかし、そういうあやしさを持っているので、世間では何かあやしい商売という印象をもたれるのです。

すくなくとも、仏像のような信仰対象物は、骨董とはちがってその由来をはっきりとさせるべきです。古物商は明確な由来のない仏像の売買は、まず盗品と疑うべきです。

今回の事件も、古物商なり、オークション業者は、しっかりとその由来なり、過去の所蔵者の経路をちゃんと調査すべきだったはずです。そのための時間をかければ、盗品と見抜けたはずです。

警察も盗まれた段階でせめて写真でも公開していれば、すぐに発見できたはずです。そういったすばやい連携をしなければ、善意の所有者があらわれてしまって、盗まれた人がお金をださなければ返ってこないという、実に社会的に不条理な状態をつくることになります。

盗まれた被害者に責任を押しつける社会というのは、どこかおかしいと思いませんか?

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