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2009年9月 3日 (木)

仏像盗難の顛末

 先日のブログで、NHKの“クローズアップ現代”の放送で仏像盗難の特集をしていたことを書きましたが、その後、ある人からメールをいただきました。曰く、このNHKの放送の中で、盗まれた黒滝村の権現堂の蔵王権現立像を見て、すぐに京都のあるオークション会社のカタログに写真が掲載されている仏像と同じと直感したそうです。それで、黒滝村役場にすぐに連絡をいれたそうです。

今日の産経ニュースによると、山添村の自作寺から4体の仏像を盗んだ疑いで男を逮捕する方針と書かれています。さらに、5月に中吉野署に被害届が出された黒滝村の権現堂の蔵王権現立像が京都市内のオークションに出品され、捜査を進めた結果、この男の関与が浮上。自作寺から盗まれた千手観音像などを京都市内の古物商に転売していたことが判明したという。県警はこの古物商から、男が売った仏像計20体を押収している。ということです。

これで一件落着ということなのでしょうか。NHKのニュースの映像を見てみると、確かに押収品の中に、蔵王権現像があります、しかも、天衣と光背がとれて、像の前に置かれています。

以前このブログで紹介した『黒滝村の仏像』に掲載されている蔵王権現像は、光背、天衣もついていました。ところが、オークションのカタログの写真では、その天衣もはずされ、光背もありませんでした。NHKの映像とおなじ状態のようです。

この押収品の蔵王権現像はあきらかに盗まれた権現堂像です。ということは、記事によると、京都の古物商は盗品と知らずに購入してオークションにだしたということになります。

盗まれた権現堂像が載ったオークションのカタログは4月16日には発行されたようです。ということは、すくなくとも、カタログ出版以前のかなり前に盗まれたことになります。しかも、それがばれないうちにすぐに、古物商に売却したようです。

まだこの段階で、この事件の問題点を論評することは危険がともないますが、あえて、疑問と問題点をあげてみます。

まず、盗まれたと判明した時期があまりにも遅すぎました。これは、仏像を管理する側にも問題があったと言われても仕方がない部分です。

つぎに、古物商はなぜ仏像を購入したのでしょうか? 盗品でなければ、善意の所有者になってしまいます。そんな簡単に盗品と知らなかったといえるのでしょうか?また、盗品と知らなければ、オークションにだしても構わないのでしょうか?これは実にもっともらしい“いいわけ”です。

古物商といういはばプロが盗品と見抜けないというのは、どういうことでしょうか。まるで自分が見る目がないといっていることと同じです。道義的に恥ずかしいと感じるのが普通でしょう。

とくに、仏像はいわゆる頻繁に流通にのるものではありません。書画骨董とは違って、必ずその由来があるものです。すくなくとも、どういう経路を経てきたのかの追跡はできるはずです。古物として流通するいわゆる骨董品というものは、以前の所蔵者の名を伏せるのが常識になっている、という商慣習があるようです。しかし、そういうあやしさを持っているので、世間では何かあやしい商売という印象をもたれるのです。

すくなくとも、仏像のような信仰対象物は、骨董とはちがってその由来をはっきりとさせるべきです。古物商は明確な由来のない仏像の売買は、まず盗品と疑うべきです。

今回の事件も、古物商なり、オークション業者は、しっかりとその由来なり、過去の所蔵者の経路をちゃんと調査すべきだったはずです。そのための時間をかければ、盗品と見抜けたはずです。

警察も盗まれた段階でせめて写真でも公開していれば、すぐに発見できたはずです。そういったすばやい連携をしなければ、善意の所有者があらわれてしまって、盗まれた人がお金をださなければ返ってこないという、実に社会的に不条理な状態をつくることになります。

盗まれた被害者に責任を押しつける社会というのは、どこかおかしいと思いませんか?

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コメント

仏像の盗難、困ったものです。
盗難者は大いに責められるべきです。
ただ、あまり古物商を非難するのはいかがでしょう。
古物商は、ご承知のように、盗品の取り扱いを防ぐ為に、警察への届出と鑑札が必要になっております
盗品と知って売買すれば盗人と同類になりますので、取り扱う品については一応注意している筈です。
どんな古物商、骨董屋でも日本中の仏像を知っているをけではありません。入手経路を明らかにしないのは、仏像に限らず、他の品でも当たり前のことなので、盗品かどうかの判断は大変難しい、通常では不可能でしょう。実際は、品物より、売り手の人間に対する判断の方が優先するでしょう。警察から、盗品、贓品のリストでも廻ってきていれば良いのですが、最近はそのようなことはないようです。
一定の注意を払っていれば、仏像であっても売買は通常の取引として認められています。かれらはそれが商売ですからね。
仏像は、他の骨董と同じく、結構沢山あります。多くが普通に流通しております。インターネットのオークションなどでも、随分でております。それらを全て把握するのは、古物商でも、専門家でも不可能です。現に小生も小さい仏さんを2,3体持っております。
売り買いしたこともあります。
信仰は信仰、鑑賞や愛玩、それぞれの立場と、ものの見方があり、それは認められなければなりません。と思いますがね。
盗品を取り扱った業者は、経済的損失は勿論、見る眼がなかったという不名誉、この世界での評判の失墜など、社会的制裁を受け、「一定の注意」のレベルも上がります。
犯人を大いに摘発して欲しいものです。

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