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2010年2月21日 (日)

仏像の移動

 浄土宗HPによると、平成22年1月18日、玉桂寺から浄土宗に阿弥陀如来立像の所有権を移す契約を両者間で締結、2月1日午前、玉桂寺にて遷座式を行った。と記しています。

玉桂寺は滋賀県信楽の山里にある高野山真言宗のお寺で、阿弥陀如来立像とは、重要文化財で、作者が行快ではないかといわれている仏像です。何故、現在あるお寺から宗教団体へ移動したのでしょう?

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まず、玉桂寺阿弥陀如来立像についての概略を述べてみます。

昭和49年5月29日:文化庁の文化財集中地区特別調査で、田辺三郎助は地藏堂脇壇に立てかけられていた一躯の阿弥陀如来立像を発見し、鎌倉時代初期の安阿弥様の三尺弥陀像であると断定した。さらに像内に納入品が納められている可能性のあることを示唆した。

その後:像は保存管理に万全を期すため滋賀県立琵琶湖文化館に移して保管することとなった。

昭和52年2月21日:琵琶湖文化館でX線写真の撮影が行われ、躰部の内刳り部に多数の納入品が込められていることが明らかになった。

昭和53年3月17日:滋賀県教育委員会は同像を滋賀県指定有形文化財に指定した。

昭和54年8月23日:玉桂寺は滋賀県の補助金を得て、本像の保存修理事業を実施するため、財団法人美術院において、像の解体が行われた。

 

 

 

 

 

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躰部から発見された納入品は、13件で、これらのほとんどが結縁交名であった。その中に造像願文が一通あり、それには、建暦2年(1212)12月24日に僧源智が先師すなわち浄土宗祖法然の恩徳に報いるために、師の一周忌を期して三尺の弥陀像を造立し、像内に数万人の姓名を納め、これら衆生の極楽往生を願ったことが記されている。

昭和55年3月~昭和56年3月:仏教大学史学科で納入品の解読がおこなわれ、昭和56年3月、『玉桂寺阿弥陀如来立像胎内文書調査報告書』 玉桂寺発行 として刊行した。

結縁交名には信空、証空ら法然教団の主要人物や藤原氏の氏長者にもなった兼実、源頼朝・頼家・実朝の源家三代、後鳥羽上皇・土御門天皇などの物故者を含む歴史上の人物に加え、運慶・快慶などの名も見られる。

昭和56年6月9日:国指定重要文化財に指定された。

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本像は、この玉桂寺で製作されたものではなく、宝暦三年(1753)の台座修理銘によると大阪の「堺稲荷宝生院」という醍醐三宝院の末寺にあった。つまり、宝暦三年時には大阪にあって、その後、どういう経過か不明だが玉桂寺に移された、ということのようです。

さて、そういう移動の歴史のある仏像が、今回はその所蔵者からまた移動することとなったのです。本来仏像はそれが製作され、納入された寺院にあるべきなのは当然なのでしょうが、時代を経るうちにか何らかの理由で、移動せざるをえない状況があっても不思議ではありません。

仏像の移動の歴史の中で、明治維新の廃仏毀釈で、廃寺になった寺院の仏像が移動するのはやむを得ないでしょう。また、明治11年、法隆寺が寺院の復興のため、四十八体仏を皇室に献納し、下賜金1万円を獲たというのも、苦汁の決断だったとおもいます。

そのように、仏像はよほどの明確な理由がないかぎり、そう簡単に手放して他に移動してこなかったのではないかとおもうのです。今回の玉桂寺から浄土宗へ仏像を譲渡したというのは、どういう理由があったのでしょうか。

浄土宗HPでは、来る平成23年が宗祖法然上人の800年大遠忌にあたることから、高野山真言宗の玉桂寺に積極的にアプローチしてきたと書かれています。

あるニュースによると、譲渡価格は1億8000万円ということが報道されています。こうなると、どうも玉桂寺と浄土宗の両方の思惑が一致したと見るのが妥当のような気がします。

仏像は、仏心のはいった崇拝対称物なのに、単なる自由主義経済のもとの商品としか見ていなかったのかと思われてもしかたありません。

仏像が単なる骨董品となった時は、こんなことは当たり前になるのでしょう。そうすると、仏像の由来を研究する術をますます奪っていくことになり、その仏像がどんな思いで作られたのかは、どうでもいいことになってしまいます。この阿弥陀如来像の結縁交名には4万6千名の祈りが込められていたのです。そのことを仏教者である当事者たちは重く受け止めていたのでしょうか。

和歌山県立博物館で4月24日~6月6日まで『特別展 移動する仏像ー有田川町の重要文化財を中心にー』という展覧会が開かれます。どういう切り口でこの問題をとらえるのか期待するところです。

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