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2010年6月26日 (土)

防犯という考え方

 “昨今の侵入窃盗(強盗)事件の増加は、大きな社会問題としてクローズアップされています。この侵入窃盗に対する防犯対策の一部として防犯性能の高い建物部品の早急な開発が大きく求められることとなり、警察庁、国土交通省、経済産業省が中心となり、平成14年11月に行政、住宅生産者団体、建物部品関連団体等からなる、官民を横断した「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が設置されました。建物部品関連団体としては、板硝子協会、日本ウインドウ・フィルム工業会、(社)日本サッシ協会、(社)日本シャッター・ドア協会、日本ロック工業会の5団体が積極的に参加し、各種建物部品の防犯性能評価方法とその運用に関する検討を行い、建物部品の防犯性能試験を実施し、規定の性能を有する「防犯性能の高い建物部品」として評価され、この度、官民合同会議からの防犯性能の高い建物部品として、目録が公表されました。”

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と業界のカタログには防犯の取り組みを説明しています。
具体的には、官民合同会議で、それぞれの建物部品の試験結果に基づき、侵入までに5分以上の時間を要するなど一定の防犯性能があると評価した建物部品を「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載し、公表しました。またその部品には、「CPマーク」というシールを貼ることができるとしました。ちなみにCPとは "Crime Prevention" の頭文字をとっています。

 

 

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侵入まで5分以上かかるという基準は、窃盗犯が建物内に侵入するまでの時間が、5分以内が約70%であるという統計によっています。つまり泥棒は侵入に5分以上かかると、70%があきらめる。ということです。それによって、例えばガラスの場合、試験項目として、打ち破りについて8回以上、こじ破り及び焼き破りについて5分以上の抵抗性能を示した商品を認定しています。付帯条件として窓サッシには、サブロック付クレセントと補助錠を合計2カ所以上とりつけてあり、かつ施錠されていること。 としています。ガラスの場合、打撃によって、穴があき、手が入って、クレセントを開けて侵入する手口がほとんどのため、5分以上たっても穴が開かないということが条件になっています。

このように、防犯性能を有する建物部品について一定の基準をつくったことは、最終ユーザーにとって、とてもわかりやすくなりました。しかし、この基準はあくまでも相対的なもので、実際の犯行手口や、建物の状況、周囲の環境などにより、条件が大きく変化することを認識すべきです。たとえば静かな住宅街と、オフィス街では、泥棒の侵入しやすい時間が違います。また、ガラスは「破れないガラス」ではなく、「破れにくいガラス」であることを肝に銘じることが肝要です。

 

 

 

 さて、最近の仏像盗難について、その防犯対策はどういった方法をとるべきでしょうか。
防犯対策については、おおざっぱに、次のような段階があるとおもいます。

  1. 建物内に侵入させない対策
  2. 建物内に侵入されても、仏像などを盗まれないようにする対策
  3. 盗まれたとき、犯人を特定できる対策、及び警察に通報する方法
  4. 盗品が市場にでた場合、犯罪ルートを捜索して、犯人を逮捕する方法

1の対策は、CPマークのあるガラスなりサッシを使う、ということである程度クリアすることができます。しかし、これも絶対ではないので、あくまでも泥棒の盗む意欲を削ぐ対策をとることが基本です。泥棒は狙った獲物は絶対に逃さないということは認識すべきで、現にバックホーなどの重機をつかって、建物を破壊してCDコーナーの現金を強奪する事件がおきています。こうなると、その対策のためには、銀行の金庫室なみの建物が必要になってしまいます。

2の対策は、防犯ブザーを設置したり、警備会社と警備保障契約をするというのがあるでしょう。しかし金銭がかかるものであり、これによって窃盗を防ぐものではありません。また、仮に防犯ブザーが鳴って、泥棒が盗んでいる最中に現場に踏み込むことは、返り打ちにあうことがあり非常に危険です。とすると、盗まれている最中に指をくわえて見ていなければなりません。

3は、防犯カメラの設置が一般的でしょう。また、警察に自動的に連絡する方法もあるでしょう。しかし、これとて、防犯カメラのみでは犯人が覆面をしていれば特定するのは困難です。

4は、防犯対策というよりも、警察の捜査能力にかかわることですが、検挙率が高ければ、それだけで充分に防犯対策となります。とくに、仏像の盗難対策を考える場合、仏像は現金、貴金属と違って、ひとつとして同じものはないといってもいいものです。鏡は同笵鏡というものがありますが、充分に調査していれば、キズ、鋳造の仕方などによりその違いは特定できるはずです。したがってもし市場にでれば、たとえ分解されていても、その特定は容易にできるはずです。そのためには、まず仏像の悉皆調査が必要なのです。

さらに、警察の捜査方法にかかわることですが、仏像の盗品は古物商に売却するなどして、いくつかのルートを経て犯人の特定が困難になっていることがあるようです。こうなるといわゆる“善意の第三者”をつくりだすことになってしまいます。すくなくとも、“善意の第三者”をつくらせない方法はあるはずです。それには、盗品の情報公開をすみやかにインターネットなどで写真付で公開することです。先述しましたように、仏像はひとつとして同じものはありませんので、古物商は、盗品を知らずに買い入れたという言い訳をできなくすることができます。

以前のブログでも書きましたように、熊本県のあるお堂から仏像が盗まれ、それが、オーストラリアで発見され、それを地域の住民が山林の木を売って、買い戻したということがありました。これを、何故ちゃんと防犯対策をしなかったのかと被害者を責めるのは簡単です。しかし、山里にある地域で守ってきた無住のお堂に、鉄筋コンクリートの収蔵庫を作れとか、防犯ブザーをつけろとかそんな防犯対策が有効なのでしょうか。およそ非現実な提言です。むしろ、最低1日に1回は仏像の所在を確認する作業をして、しっかりとした調査をした調書を作っておき、盗まれた時にはすみやかに情報の公開をして、転売されないようにすることが現実的な最低限の防犯対策ではないでしょうか。以前、某テレビ番組で放送していた「近頃の信仰心の欠如」を歎いても、何の対策にもなりません。

参照ブログ

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