« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »

2016年4月

2016年4月 9日 (土)

旧山崎家別邸

 先日、川越に行ってきました。旧山崎家別邸が4月1日より公開されるという情報を、埼玉県の博物館学芸員の人から教えていただいたので、あまり人に知られる前に出かけてきた次第です。

場所は、有名な川越の蔵が並ぶ通りにある、山崎美術館の裏手にありました。山崎美術館は、天明3年(1783)創業の菓子舗、龜屋の所有の美術品を展示していました。しかも、橋本雅邦の作品を多く所有しているようでした。

旧山崎家別邸は、この龜屋の5代当主山崎嘉七の隠居所として大正14年に建てられました。設計は保岡勝也です。

Photo

この建物は、以前から、川越市の所有になっていましたが、建物の外観のみ、年に1回程度公開するだけでした。今回は、建物の全面改修をして、やっと内部も公開するはこびとなりました。この内部公開を首をながくして待っていました。やっとのことで見ることができました。

それほど、この家に嵌まっているステンドグラスは、待った甲斐があるほどすばらしいものでした。

まずは、玄関の内部にある袖のFIXに嵌まっていました。

Photo_2
中の青いガラスは、多角形に面取りした、半球形のガラスです。

玄関のすぐ横の階段の踊り場にまずは、注目です。

Photo_3
田辺千代氏によると、小川三知のスケッチから、同じ図柄の絵を発見した、としています。しかし、藤森照信氏は、小川三知の日記からピックアップした作品のリストには山崎家別邸はありません。
田辺は、この作品を『泰山木とブルージェ』という作品名があることを書いています。また、

”ブルージェ”とは、鳥の名前で、オランダの軍人で鳥の収集家のブルジェという人が発見した鳥ということで名付けられたといわれています。

と書いていますが、”ブルージェ”という鳥の名前をさがしてもみつかりません。図柄を見てみると、鳥の色が違いますが、アオカケス(ブルージェイ)ではないかと思われます。
アオカケスは頭部に短い冠羽があり、翼部に帯状の模様があります。
ステンドグラスの鳥は、頭部の冠羽や、胸部の色が、アオカケスと違いますが、作者は、その部分の色を実際の鳥と違う色に変えたのでしょうか。

Photo_4
階段の下に、両開きの窓があります。

Photo_5
ちょっと、この木と、花の名前は、未調査ですが、青い川を表す色があざやかで、印象的でした。
とくに、葉の色使いがすばらしく、オパールセントグラスを実にうまく使って、葉の様々な色のバリエーションを表現しています。また、とくに下部の細かい葉や花の表現には、細い鉛線を使った、高度な技術を駆使しています。

Photo_6
玄関横の客室には、ステンドグラスが2箇所あります。ひとつは、窓の中心に花をあしらった3連の上げ下げ窓。

Photo_7
その反対側の食堂との間にある引き違い窓。

Photo_8
この客室の2箇所のステンドグラスは、階段室にある2箇所のステンドグラスと、明らかに作風が違います。
田辺は、平山健雄氏から別府ステンドグラス製作所の資料の一部を提供され、その中に同じデザインのデッサンがあったといっています。

Photo_9
この建物には、小川三知と別府七郎の2人の作者のステンドグラスが嵌まっていたということになります。比べてみると作風も、技法も違いがあるのがわかります。

どうして、2人の作家にステンドグラスを作らせたのかは、よくわかりません。しかし、ひとつの建物で、複数の作家の作品が同居することは、よくあったことのようです。

それよりも、ちょっと気になることは、山崎家は、先ほど書きましたように、川越藩の御用絵師だった橋本雅邦との関係があったということです。小川三知が美術学校で教えを受けた先生は、橋本雅邦でした。
もちろん、設計の保岡勝也がステンドグラス作家に依頼をすることが多いのでしょうが、同じ川越で設計した山吉デパートに嵌まっているステンドグラスは、別府七郎の作品といわれています。
山崎家と小川三知は、どこかで接点があったのでしょうか。

それにしても、ひさしぶりに、日本のステンドグラスにめぐりあえました。

続きを読む "旧山崎家別邸" »

« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ