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2017年2月

2017年2月19日 (日)

豊橋、浜松の旅

 日帰りで、旅をしてきました。
まずは、新幹線で豊橋駅に下車。路面電車にのって、市役所前で降りると、目の前に豊橋市公会堂がありました。

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昭和6年、中村與資平の設計です。左右の塔の最上階の窓の各2方に、ステンドグラスが嵌まっていました。

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場所は、左右とも階段室です。

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その階段室から、正面の吹き抜け側の窓にも、両方に同じデザインでステンドグラスがあります。

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そこから、公園の中に入ると、すぐに、豊橋市美術博物館があります。

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「普門寺と国境のほとけ」展を見学。仏像が普門寺を中心として、10数体出品されていました。いずれも平安から鎌倉時代の仏像です。
この展覧会は、普門寺の旧境内の発掘調査の調査報告書が去年完成したことにより、開催されたようです。
報告書では、いくつかの新事実が報告されており、それにもとづいて展示されているようです。

同じ公園内にある城跡、吉田城へ。復元された、鉄櫓が、豊川の川岸に建っていました。
この城は、北に豊川というおおきな川があり、それを利用した縄張りになっています。
対岸からみると、城の立地がよくわかります。

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電車にのって、浜松へ。駅から歩いて、10分ほどで、木下恵介記念館がありました。

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旧浜松銀行協会の建物です。昭和5年竣工で、設計は中村與資平です。この建物には、中村與資平資料室が一室にありました。

その玄関のランマです。

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この建物内には、珍しい型硝子を2点発見しました。

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日本では、作っていない柄です。

歩いて、浜松城へ、天守閣と天守門が復元されています。

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吉田城もそうですが、石垣が両方とも、野面積みです。角の打ち込み矧ぎの石垣も、野面積みに近い積み方です。よく、これだけの石垣が残ったと思います。

もうひとつ、これで、静岡市庁舎と合わせて3棟の、中村與資平設計の建物を見たことになります。しかも、この3棟すべてに、ステンドグラスの窓を採用しています。図柄は、旧浜松銀行協会のステンドグラスが、ちょっと、アールデコ調で変わってはいますが、豊橋市公会堂、静岡市役所は、オーソドックスな図柄になっています。

中村與資平は、ステンドグラスの図柄に、どの程度関与したのかはわかりませんが、全体の意匠のなかで、それなりの、感覚を具現化したのでしょうか。

2017年2月 7日 (火)

『佛教藝術』休刊

 『佛教藝術』が1月30日刊行の第350号で休刊になりました。創刊が昭和23年(1948)8月ですから、私ごとですが、私の生きてきた間、ずっと刊行されてきた研究誌でした。

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私がはじめて、『佛教藝術』を購読したのは、71号からでした。大学の2年の時だったと思います。この雑誌を定期的に買おうとおもった、ということは、この道に進もうと覚悟したからだったかもしれません。
結果的には、叶いませんでしたが、その後、1冊も切らさず手に入れてきました。

350号の末尾には、 『佛教藝術』休刊のお知らせ が掲載されていますが、休刊の理由として、

  • 専門的内容の研究誌を取り巻く状況が厳しい
  • 研究誌としての高い質と誌面編成を維持しつつ継続することが困難

を揚げていますが、要は、仏教美術の研究者が減少していることに尽きると思います。
研究者の数が少なければ、それだけ論文の数も少なくなるのは自明の理でしょう。

では、美術史の分野の中で、なぜ仏教美術の研究者が少なくなったのでしょうか。もともと、仏教美術という分野は、他の分野と違って、難解であるという先入観があるようです。前提となる仏教(宗教)の教義を理解することに躊躇するのでしょうか。

今、書店の美術関係の書棚を見ると、仏像の入門本が、常に数十冊並んでいます。この数年、静かな仏像ブームだそうです。いわゆる団塊の世代を中心とした中高年が、その知的好奇心を満たすのに、絶好のテーマだからなのでしょう。

それなのに、若い世代は、美術というと、西洋絵画か、日本美術では、近世・近代絵画に興味が向いているようです。

仏教美術という、せまい分野を研究テーマにするメリットは、今は、もうなくなってしまったのでしょうか。

たとえば、1980年~2000年ころ、日本各地の自治体では、文化財の悉皆調査を実施していました。その調査を実施するため、若い研究者が、実際に作品にふれることができる実体験の場が提供されていました。しかし、バブルがはじけると、真っ先に予算を削る分野となりました。そのために、仏像の調査ができる研究者が、一人もいない都道府県がまだ存在している結果となりました。

仏像研究者の数をふやすことが急務なのに、それができない状況になってしまいました。
『佛教藝術』の休刊は、その現状に対抗できなかったためでしょう。

現状では、この衰退現象はなにもしなければ、ますます加速することは目に見えています。では、この現状を打開するには、どうしたらいいのでしょうか。

少なくとも、今の現役の仏教美術研究者にその危機感が感じられません。研究者は、自身の論文執筆のためや、もろもろの雑仕事で、いそがしくて、学会のことなど、考える暇もないのでしょう。

学会は、単なる、研究発表の場を提供するだけの機関ではないはずです。研究者の研究できる環境づくりに、力を注がなければならない機関なのです。

どこの業界でも業界団体はあります。その団体の構成員は、それぞれが、仕事上のライバルであると同時に、業界全体の発展のために、さまざまな手を打って団体を運営しているのです。

それが、美術史の学会でも充分機能しているのなら、こんなことにはならなかったのではありませんか。外から見ると、学会というものが、このように見えてしまいます。

「春秋堂文庫」を2年ぶりに、更新しました。
350号休刊に会わせて『佛教藝術』図版論文総目録を上掲しました。

項目数は、図版4442件、論文2259件 になります。
号数順、編著者別、分野別にそれぞれ、分けて掲載しました。
このデータベースが、仏教美術研究者の研究の手助けになり、また、新たに仏教美術を研究する人の支援になることを期待いたします。

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