書評

2012年6月 1日 (金)

関東の仏像

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 この本の存在を知ってから、Amazon や 楽天 などネットで調べても全然ヒットしません。どうも、流通経路が違うようなので、直接新刊本屋さんへ、注文しました。

1週間ほどたって、ようやく手にいれることができました。NETで本を注文することに慣れてしまうと、従来の本屋で注文というのがいかにまどろっこしいのかを痛感しました。それだけ便利さというものにどっぷりとつかって、気が短くなったのでしょうか。

さて、この副島弘道編『関東の仏像』という本は、おおざっぱに分類すると、仏像の写真集でしょうか。各仏像について、副島研究室のメンバーらしき人の解説がありますが、何かとってつけたような文章がつづられています。研究者の卵に執筆の機会を与えることは、それはそれでいいのでしょうが、もうすこし工夫があってもいいのかな、とおもいます。

掲載の写真は、このために新たに撮影したとのことですが、それだったら、『基礎資料集成』のように、資料写真として正面、左右側面、背面、斜側面などを、なぜ掲載しなかったのでしょうか。

また、当然写真撮影時には、調査をしているはずですから、解説文を載せるよりも、『基礎資料集成』のように、調査報告を掲載したほうが、よほど使える本となります。

掲載の仏像の中には、いままで、あまり詳細な写真を見ることがなかった仏像もあり、これだけ詳細な写真を見ることができただけでも、買う価値があったのかな。

とりあえず、掲載された仏像のリストを揚げておきます。

  1. 釈迦如来倚像  深大寺
  2. 大谷磨崖仏  大谷寺
  3. 薬師如来及び両脇侍像  大善寺
  4. 薬師如来及び両脇侍像 薬師如来坐像 日光菩薩立像  宝城坊
  5. 十一面観音立像  弘明寺
  6. 阿弥陀如来及び両脇侍像  西光院
  7. 不動明王及び二童子像  金剛寺
  8. 阿弥陀如来坐像  大正大学
  9. 地蔵菩薩坐像  瑞林寺
  10. 阿弥陀如来坐像 不動明王及び二童子立像 毘沙門天立像  願成就院
  11. 阿弥陀如来及び両脇侍像 不動明王立像 毘沙門天立像  浄楽寺
  12. 釈迦如来立像  大円寺
  13. 阿弥陀如来及び両脇侍像  保寧寺
  14. 金剛力士立像  放光寺
  15. 厨子入大日如来坐像  光得寺
  16. 菩薩立像 地蔵菩薩立像  満願寺
  17. 聖徳太子立像  天洲寺
  18. 初江王坐像 倶生神坐像  円応寺
  19. 阿弥陀如来坐像  高徳院
  20. 阿弥陀如来坐像  善明寺
  21. 阿弥陀如来及び両脇侍立像  円覚寺
  22. 阿弥陀如来及び両脇侍坐像  浄光明寺
  23. 天海坐像  輪王寺
  24. 地蔵菩薩坐像  眞性寺

 

2011年9月13日 (火)

『日本の美術』休刊

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 一ヶ月余りの夏休みをとらせていただきました。といっても、休んで何もしなかった訳ではなく、我が家の大震災復興事業をしておりまして、何とか、倒壊した本棚の復旧が終わりました。後は、どう本がはみ出ないかに、シフトすることになります。

さて、そうこうしている内に、至文堂発行の雑誌『日本の美術』が今月の545号をもって休刊となりました。

実に45年あまりにわたって続いた雑誌でした。

 

 

 

 

 

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第1号が発行されたのは、私が高校3年の新学期がはじまる頃でした。新聞の広告か何かで知ったのだとおもいます。すぐに、近所の本屋さんに定期購読の申し込みをしました。定価が490円と高校生の小遣いでも買える値段だったのと、カラー写真が豊富に掲載されていたのが、魅力だったとおもいます。

受験勉強をしながら、毎月、今度はどんなテーマででるのだろうかとわくわくして、待っていました。それにもまして、1年間購読すると、帙がもらえるというオマケも魅力でした。

そして、その近所の本屋も閉まり、そこで勤めていた人が宅配専門の本屋をはじめ、毎月届けてもらうようになりました。それも10数年つづくと、そのオジサンも高齢になり、廃業してしまい、また、近所の本屋に定期購読の申し込みをしたりして、1号も欠かさず手元に置くことができました。

この雑誌は、毎月欠かさず発行されていたのではなく、たった1回だけ、月が空いたことがありました。それは、41号(1969年9月)から42号(1969年11月)になるとき、10月が抜けたのです。

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また、最終号の巻末に全タイトルが掲載されていますが、それ以外に、2004年1月25日に発行された宮島新一「風俗画の近世」というタイトルの別冊がでているのです。したがって、『日本の美術』は全546冊になるのです。

休刊のお知らせにもあるように、この雑誌は、今までの雑誌の概念を越えるもので、各号がちょうどひとつの展覧会のカタログのような体裁で編集されていました。

この雑誌の編集の方針で、各国立博物館の職員に執筆させたことが、実にうまく機能していたのです。

まず、博物館員は、美術品などの写真を、実際に豊富に提供できる立場にあり、その博物館員に執筆させたのですから、写真の掲載に手間がかからなくなります。

 

 

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しかも、博物館員は、自らの研究テーマを存分に書ける機会が与えられたのですから、両者ともうまくいかないはずはありません。

しかし、500号を越えると、さすがに、テーマの選定に四苦八苦している様子がうかがわれました。もうそろそろかな、というときに、発行所が“至文堂”から“ぎょうせい”に移りました。しかも、経費節減で、帙の提供を中止してしまいました。

こうなると、もう昔のひと時代が、終わってしまった感がありました。

惜しい というよりもご苦労さまでした。ということでしょうか。

この本は普通の雑誌とは違って、持っていても、すこしも邪魔になるものではありません。ちょっと知りたいときに、いつでも使うことができるからです。その当時、興味のないテーマであっても、我慢して購読していたのが、役立つことになるような気がします。

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いま、『春秋堂文庫』にその内容も含めて、文献目録を掲載すべく、校正をしています。

近々にUPできるとおもいます。乞うご期待。

2010年10月 3日 (日)

平木収著『写真のこころ』

Photo 平木収君の評論集が出ました。 膨大な評論から六章に分けられた文章は、平木君の写真に対する仕事、取り組み方をうまく分類しているようです。

「Ⅰ 見つめる楽しみ」は写真を見ることの楽しみ方から、それをどういう風に思考していくかということを、見ることの基本から丁寧に語っています。

「Ⅱ 写真を学ぶために」から、「Ⅲ 展覧会の現場から」は、彼が写真評論の道に進んだ歴史とともに語られており、平木収の思考遍歴を交えながらの評論は、彼ならではというところです。

「Ⅳ 撮る人をめぐって」は写真家の評伝ですが、彼の調査能力と、見る目の確かさを発揮しています。

そして「Ⅴ 写真への旅」では、彼が写真評論の仕事をしている上での、エッセイが綴られています。特に、奥さんの京子さんに、海外旅行の許可を得るための手練手管は、子供っぽく、ただ京子さんの手のひらで踊っているのを、臆面もなく綴っています。いかにも平木らしさがよくあらわれています。

「Ⅵ 対話から」はさまざまな人との対談から、彼の言動をピックアップしていますが、これだけでは、いまひとつわかりにくいことがあります。

そんなで、ざっと読んでみると、いかにも平木君らしいな、とおもう文章に出くわしたり、彼自身の歴史をさりげなく書きつづり、なつかしさとともに、もっと仕事ができたのにという、くやしさがわいてきます。

本の表紙の黒四角は、実際は銀色をしていて、四角にしきられた枠の中に、読者の写真をいれてくださいというメッセージのようにみえます。

しかし、この本は「あとがき」にあるように、「過去の文章をただ網羅するのではなく、これから写真を学ぼうとする人たちを含め、幅広い層の人たちに写真の楽しさと奥深さを知るきっかけを提供できるよう、本人が残した単著の構想メモをベースに全体の構成と掲載内容が検討された。」 と平木君は、写真の楽しさから、写真史の研究へとその構想があったと書いています。

たしかに、平木君を知っている人にとっては、この本を読むと、平木君の情熱がひしひしと伝わってきます。しかし、あの、何ともいわれない風貌を知っているからこそ、それが感じられるのであって、平木君に会っていない人にとって、それが十分に伝わるのだろうか、という疑問がよぎります。

平木君は、写真のもつインパクト、その力はわかりすぎるくらい熟知しているのに、自著に自身の写真が載らないのは、彼の文章のさらなる説得力に力を与えていないように思えるのです。

そんなで、彼の若かりし頃と、充実していた頃の写真を掲載します。手許にはこれしかありませんでしたので、どれだけ平木君の人ととなりを表現しているかは自信がありませんが。

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2010年9月23日 (木)

宇野澤辰雄の世界

Photo やっとこの本を手にいれました。先月から予告はあったのですが、いつ発売されるかわからなくて、新刊本屋に日参していたのですが、ついに、堪忍袋の緒が切れて通販で買うことになりました。

そうしたら、発注してなんと、2日で届いてしまいました。これでは、新刊本屋さんは商売上がったりでしょうね。

この本は一昨年出版された『日本のステンドグラス 小川三知の世界』の第二弾となるものです。第一弾は、テレビの特番で脚光をあびた小川三知を世に知らしめた本として、注目をあびました。

今回は二匹目のドジョウをねらったにしては、ちょっともの足りないところがありました。

たしかに、写真はふんだんに掲載されていますし、硝子ならではのあざやかさや、デザインの新鮮さに対するおどろきは、以前にもましてありますが、何かすっきりしないものがあります。

宇野澤辰雄という人は、日本で最初のステンドグラス製作者であるのに、実際に手がけた作品は2、3点だったようです。つまり、この本に掲載されている33軒の建物に嵌っているステンドグラスは、その後の後継者が起こした会社での作品がほとんどということになります。

そこが小川三知と違うところなのでしょう。小川三知の作品は、小川自身が美術学校の出身なので、そのデザインに深く関与したであろうことは、想像できますが、「宇野澤ステインドグラス製作所」には、複数の職人がおり、その後、独立して別の会社をおこして、製作しています。この本に載っている作品は、いはば、宇野澤系の作品ということになるのでしょう。

Photoそんなで、この本に掲載されている33軒のステンドグラスの内、実際に見た数はまだ2桁にも及んでいません。当然、未公開の建物もあるので、すべて見るわけにはいきませんが、この本を見ながら、本物の想像をしていますが、こと、ステンドグラスは写真と実際に見るのとでは、雲泥の差がでます。それは、その時の外の天気による光の違いで、まるでその印象が変わってしまうからです。人工光を通してみるのでも、光源が違えば、全然印象が違って見えます。

この本の「あとがき」で、増田彰久氏は、2つのステンドグラスの紹介をしています。ひとつは、宇野澤辰雄の数少ない作品の「旧渡邊千秋邸(現トヨタ記念館)」です。この建物は非公開なので、見られませんが、もうひとつ新宿の伊勢丹のステンドグラスを挙げています。

 

 

 

 

Photo_2 このステンドグラスは以前にも紹介しましたが、屋上に上がる階段の躍場の窓に嵌っています。今でも、いつでも見られるステンドグラスです。淡い色調で、数種類の型硝子をうまくつかっています。

増田氏はこんなシンプルさに気品を感じていて、これが日本的なステンドグラスの在り方だと感じられてならない。といっています。

次は『大正、昭和期のステンドグラス』として、全3巻としたいと抱負を述べていますので、是非期待したいところです。

2010年9月 1日 (水)

掲載文献から(その2)

まるまる一ヶ月ご無沙汰してしまいました。

暑いですねぇ。

そんな具合で、暑さで頭の回転がにぶくなってしまいました。お盆休みも5日あったのに、何の行動もなくひたすら、家の中で暑さに耐えていました。

というわけで、しばらくブログに力を投入していたため手薄になっていた『春秋堂文庫』の更新作業を、この夏は重点的にシフトして作業することにしました。とりあえず、この1年間収集した文献の内容の入力に明け暮れる毎日でした。

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やっと、なんとか69冊の入力を終え、1年ぶりに更新することができました。ヤレヤレです。
この1年間に収集した文献、単行本は、「地域別彫刻所載文献目録凡例」の更新履歴に掲載してありますが、最近の傾向は、やはり不況の影響で、地方自治体の発行が減少しているのが感じられます。

とくに、悉皆調査報告が、今回では、「小山市の仏像」ぐらいでしょうか。あきらかに自治体の予算不足の影響でしょう。

 

 

 

 

 

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その他も、論文集としての発行の量が少なくなっているようです。その中で、前田博仁『近世日向の仏師たち』という単行本が目に止まりました。この本はいわゆる地方出版の本です。タイトルに「仏師」としていますが、著者が書いているように、修験僧の造仏について取り上げています。木喰、大円、円立院、延寿院、快然とおそらく木喰以外は知られていない仏師でしょう。これらの修験僧の作仏を丹念に追っています。こういう地方に根付いた仏師の発掘作業はなかなか容易ではありませんが、地元の地の利を生かして、丁寧に調べています。
こういった、仏師の足跡や生活がわかると、少なからず日本の彫刻史におおきな影響をおよぼしてくると思うのですが、まだ時期尚早なのかな。

 

 

 

 

 

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 もうひとつ、めづらしく、史料を買いました。文献目録には掲載していませんが、『安祥寺資財帳』です。これは、平安前期の寺院史を研究する上で重要な文献で、いままでは、『平安遺文』に載っているくらいだったとおもいます。久し振りに原典にあたることができるというのは、新鮮な気分です。

 

一ヶ月も更新をしていなかったら、ご心配のメールをいただきました。

だいじょうぶ! まだ生きています。

これから読者の皆様に、あまりご心配をかけない程度に更新をしていきますので、あたたかく見守ってくださるようお願いいたします。

2009年5月 7日 (木)

仏像入門書

 あっという間に連休が終わってしまいました。例のごとく計画はいっぱいあったのに、その1/10もできませんでした。たまりにたまった、仏像本の入力もまだまだ山積みになっています。『春秋堂文庫』の更新もしなければと思いながら、なかなか進みません。しばらくの猶予をください。

さて、仏像本の入力で、以前からどうしようかと迷っていることがあります。それは、最近とみに出版されている、いわゆる「仏像入門本」です。仏像の基礎的な知識が書かれているので、仏像に興味を持つ導入としては、いいのかもしれませんが、内容がほとんど同じでは、その本にどれだけオリジナリティがあるのかが疑問だからです。その本でしか、知り得ないというのなら、充分にリストアップする価値があるのですが、どうも というのが大半のようです。ちなみに、ここ数年間に発行された本をあげてみます。

  1. 水野敬三郎編『日本仏像史 カラー版』 2001.5 美術出版社 2500円
  2. 飯島満・岩崎和子『仏像がわかる本』 2001.10 淡交社 1500円
  3. 佐伯快勝『仏像を読む』 2002.2 学習研究社・文庫 580円
  4. 田中日佐夫『日本100の仏像』 2002.3 JTBパブリッシング 1700円
  5. 谷敏明『図解仏像がわかる事典』 2002.4 日本実業出版社 1600円
  6. サライ編集部『仏像の見方 メガネをかけたようにわかる』 2002.4 小学館・双書 1200円
  7. 佐藤昭夫『日本の仏像100選』 2002.5 主婦と生活社 2300円
  8. 河原由雄『仏像の見方見分け方 正しい仏像鑑賞入門』 2002.8 主婦と生活社 2300円
  9. 紀野一義/入江泰吉『仏像を観る』 2002.8 PHP研究所・文庫 857円
  10. 大法輪閣『図解 仏像の見分け方 増補新装版』 2002.11 大法輪閣 1800円
  11. 松涛弘道『日本の仏様がわかる本』 2002.11 日本文芸社・新書 705円
  12. 宮元健次『すぐわかる図説 日本の仏像』 2003.3 東京美術 1800円
  13. 西村公朝/飛鳥園『やさしい仏像の見方 改訂版』 2003.6 新潮社・全書 1300円
  14. 江里康慧『仏像に聞く 鑑賞を深めるための基礎知識』 2003.6 ベストセラーズ・新書 830円
  15. 松涛弘道『仏像の見方がわかる小事典』 2003.12 PHP研究所・新書 840円
  16. 瓜生中『知識ゼロからの仏像鑑賞入門』 2004.1 幻冬舎 1400円
  17. 宮治昭『仏像学入門 ほとけたちのルーツを探る』 2004.2 春秋社 3000円
  18. 真鍋俊照編『日本仏像事典』 2004.12 吉川弘文館 2500円
  19. 宮元健次『仏像は語る 何のために作られたか』 2005.9 光文社・新書 720円
  20. 瓜生中『仏像はここを観る 鑑賞なるほど基礎知識』 2005.11 祥伝社・新書 750円
  21. 美術出版社編集部『新全国寺社・仏像ガイド』 2006.3 美術出版社 3000円
  22. PHP研究所/瓜生中『仏像 仏像鑑賞が10倍楽しくなる』 2006.3 PHP研究所 1200円
  23. 関信子/山崎隆之『仏像』 2006.4 山と渓谷社 6400円
  24. 熊田由美子『仏像の事典』 2006.4 成美堂出版 1200円
  25. 宮澤やすみ『グループ別ですんなりわかるはじめての仏像』 2006.5 河出書房新社 1600円
  26. 山本勉『仏像のひみつ』 2006.6 朝日出版社 1400円
  27. 春秋社『仏像はやわかり小百科 新装版』 2006.8 春秋社 1500円
  28. 瓜生中『知っておきたい仏像の見方』 2007.1 角川学芸出版・文庫 476円
  29. 田中ひろみ『仏像 大好き!仏像に会いに行こう』 2007.4 小学館 1300円
  30. 山崎隆之『仏像の秘密を読む』 2007.4 東方出版 1800円
  31. 向吉悠睦/中村佳睦『やさしくわかる仏像入門』 2007.8 ナツメ社 1400円
  32. ムック『仏像の本 封印の秘仏と奇蹟の霊験譚』 2007.12 学習研究社 1300円
  33. 宇野津善光『よくわかる仏像の見方』 2008.3 JTBパブリッシング 1300円
  34. 北進一『ほとけを知る 仏像めぐりハンドブック』 2008.4 シンコーミュージックエンタテインメント 1000円
  35. 山本勉『仏像のひみつ(続)』 2008.5 朝日出版社 1400円
  36. PHP研究所/花山勝友『図解仏像のすべて 新装版』 2008.9 PHP研究所 1100円
  37. 副島弘道『仏像の楽しみ方完全ガイド』 2008.10 池田書店 1600円
  38. 岩田茂樹/稲本泰生『やさしい仏像』 2008.10 永岡書店 1200円
  39. 副島弘道『仏像の見方がすぐわかる本』 2008.11 主婦と生活社 1381円
  40. 田中義恭『面白いほどよくわかる仏像の世界』 2008.11 日本文芸社 1400円
  41. 仏像ガール/西山厚『仏像の本』 2008.11 山と渓谷社 1600円
  42. 広沢隆之『仏像とお寺のなるほど読本』 2008.11 青春出版社・文庫 648円
  43. 飯泉太子宗『たのしむ仏像』 2008.12 廣済堂出版 1400円
  44. 副島弘道『仏像鑑賞ガイド 英訳付』 2008.12 池田書店 1500円
  45. 瓜生中『お寺と仏像 おもしろ事典』 2009.1 PHP研究所 1500円
  46. 紺野敏文『奈良の仏像』 2009.2 アスキーメディアワークス・新書 762円
  47. 長岡龍作『日本の仏像』 2009.3 中央公論社・新書 980円
  48. 山崎隆之『一度は拝したい奈良の仏像』 2009.3 学習研究社・新書 880円
  49. 一坂太郎『仁王』 2009.4 中央公論社・新書 940円

Photo 私が仏像に興味を持った頃は、佐和隆研『仏像事典』がバイブルでした。今でもちょっとした仏像を知りたいときには、ひもときます。この本はいわゆる入門書ではありませんが、仏像の儀軌についての典拠がしっかりと書かれているのが使える本なのです。仏像の名称を覚えるのは、確かに最初はつらいとおもいます。しかし、基礎知識とはそんなに楽しく覚えるものではないと思うのです。同じ体裁で、真鍋俊照編『日本仏像事典』はさらによく書かれています。石田茂作『仏教美術の基本』は写真も豊富に掲載されていましたが、ちょっと高かったので、買ったのはずっと後になってからでした。

 

 

 

 

 

Photo_3Photo_4  これだけの仏像本が出版されているというのは、やはり仏像ブームなのでしょうか。団塊の世代が暇になったので、仏像鑑賞に走ったという説はほんとなのでしょうか。

私が若い頃、趣味は仏像です。といったら怪訝な顔をされました。それ以来趣味が仏像だとは一言も言いませんでした。今、やっと理解されるようになったのかな、とひそかに感じています。

2009年3月28日 (土)

大報恩寺の美術と歴史

このところ書評ばかりになってしまいました。仏像探求の旅、美術館めぐり、近代建築散策も、だんだんとハードルが高くなってきていて、簡単に見られない物件が多くなってきました。ちゃんと準備しないと、なかなか気軽に見られないのです。なかなか機動力が生かせません。そんなわけで、ちょっと今ネタぎれぎみで、再度調べなおさないと新しいものがみつかりません。

Photo 『大報恩寺の美術と歴史』は京都大報恩寺の寺宝および寺史が書かれている本です。この手の本は、寺が発行元になって、非売品にすることが多いのですが、これは、ちゃんと市販されていますので、今回はネットで手にいれました。

京都の寺院の悉皆調査は、京都国立博物館が毎年1ヶ寺程度を決めて行ってきましたが、この2~3年その調査報告がでていません。京都市内は他自治体でやっているように、地域的に網羅してやる調査ではなく、寺院ごとに悉皆調査をやってきました。寺院の数が多いので、そのほうが効率的なのでしょうが、それでも、かなり長期的にやらなければ、とても調査が終了するとは思えません。

それでも以前紹介した、仏教大学などでは、ある寺院をきめて調査をやっているようですし、大学、研究所など調査できる機関が複数あるので、手分けすればかなり調査が進むと思うのですが、なかなか進んでいないようです。

この『大報恩寺・・』の本の定価は8,400円(税込み)は、高いのか安いのかは何ともいえませんが、寺宝に清水寺式千手観音立像を発見しました。清水寺式千手観音像は、本家の清水寺は別として、京都市内では絵画が智積院に、版画が三十三間堂にあるくらいです。また彫像では、近辺にあるのは、大阪府池田市の常福寺ぐらいで、意外に清水寺の近辺にはその例がないのです。

そういった意味では、本家の清水寺のそばに清水寺式千手観音があったのは、注目に値します。その仏像の来歴などが解ればそれにこしたことはないのですが、これからの研究しだいということでしょうか。

2009年3月25日 (水)

仏像新書本

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この2月3月でたてつづけに新書版で仏像の本が新刊本屋の店頭に並びました。いづれも彫刻研究者による執筆です。

去年の秋にも数冊仏像の入門本が出版されましたが、それは、あくまでも仏像を理解するための基礎的な知識を述べるといった内容が多かったように思います。その時の執筆者は美術史研究者ばかりでなく、仏教史研究者、仏像修理者、仏像愛好家など多彩でしたが、基本は仏像を理解するための基礎的知識を披瀝するのが主のような本でした。

読者もこのような本では、もう飽き足らなくなってきたのでしょう。出版社も二匹目のドジョウはねらえなくなり、もうすこし専門的な知的好奇心をくすぐる論考を読者に提供しようと考えても不思議ではありません。

というわけで、まずは紺野敏文著『奈良の仏像』、長岡龍作著『日本の仏像』はそれぞれに、その興味というか着眼点は微妙に違ってはいますが、いわゆる美術史的観点から、造形的考察、その背景にある仏教教義の考察といった主流的な考察方法で展開しています。この2冊は著者の論文を読むための前知識としてのいはばダイジェストとしての性格が強く感じられます。

山崎隆之著『一度は拝したい奈良の仏像』はそれとは、ちょっと視点がちがった見方をしています。というのも山崎氏は東京芸術大学で仏像の修理を長年にわたって行ってきた人ですので、仏像をどのようにして製作したかの、技法的な関心に多くが向けられています。そのために、いわゆる美術史学者が気がつかなかった視点をもっています。

たとえば、飛鳥大仏の手の爪の輪郭線がつながっていない、とか百済観音宝冠の飾り紐の長さが短いことの不自然さを指摘するなど、実際に、仏像にさわってみたり、ひっくり返してみなければわからない視点をもってみているのがわかります。ただ、外面的に観察しただけでは知り得ない情報が掲載されているのです。

以前単行本で多数の入門本が出ていた中でも、山崎隆之著『仏像の秘密を読む』(平成19年4月刊)はそういった作り手側からの視点で書かれた本としてとても参考になる本でした。

こういった、実際に仏像に手をふれたり、あるいは仏像の内部を観察したりできるのは、ほんとに極く限られた人間にしかできないことなので、その体験記は非常に貴重なのです。できれば、もっと細部にわたった調査報告あるいは見聞記を記録に残してほしいと願うばかりです。

2009年3月22日 (日)

南部の仏像

Photo 『南部の仏像』を手に入れました。青森県の仏像及び絵画の悉皆調査報告書です。平成20年12月刊です。

青森県史叢書としては、『下北の仏像』についで2冊目になります。

青森県では、青森県立郷土館が平成2年から5ヶ年計画で仏像調査が行われ、『青森県立郷土館研究年報』の15号から20号まで報告が掲載されています。

さらに、青森県立郷土館では、『青森県の仏像ー西北五地方編ー』として平成10年に刊行されています。

また、弘前市では、『弘前の仏像』という調査報告書が平成10年に刊行されました。

今後、『津軽の仏像』の刊行でおよそ、県内のすべての悉皆調査報告書が刊行されることになります。

 

Photo_2 『南部の仏像』の中で書かれていますが、青森県での仏像調査は当時、弘前大学にいた笠原幸雄氏の貢献が大きいとおもいます。さらに、その後、須藤弘敏氏にバトンタッチされ、このような形で調査を完了させることができたのは、おそらく他の県でもないことだと思います。

全国の仏像の悉皆調査を俯瞰してみますと、その都道府県あるいは地元の大学に仏像調査のできる専門研究者がひとりでもいるかいないのか、でおおきな差がでているようにおもいます。その県内にたった一人の専門家がいるだけで、県内の悉皆調査がかなりできるのです。そういった計画を進められるのは、国の補助金行政の指導でできるのでしょうが、それでも、都道府県はがんばって行っています。

結局のところ、日本全国すべての悉皆調査を行わなければ、そのデータを有効に使えないのです。

それが、完了するにはまだまだ時間がかかりそうです。

2009年3月18日 (水)

『展覧会カタログ総覧』

Photo 『展覧会カタログ総覧』上下2冊は平成21年1月26日に日外アソシエーツから出版されました。定価\52,500円です。一般人では手がでません。というよりも図書館のリファレンスコーナーに置かれるための本です。

データは「東京国立近代美術館」「横浜美術館」「国立西洋美術館」「東京都写真美術館」「東京国立博物館」「東京都江戸東京博物館」の蔵書の中から、展覧会カタログを集めたものです。収録図録は61,300点になると書いてあります。

分類はその内容によって「総記」「宗教」「歴史・地理」「社会科学・自然科学」「工学・産業」「建築」「芸術・美術」「彫刻」「絵画」「書」「版画」「写真」「工芸」「音楽・演劇・映像」「スポーツ・諸芸・娯楽」「文学」に大別して、各大見出の下はテーマ、人名ごとに適宜細分して小見出を立てた。としています。

この分類は図録という性格にあった分類法だとおもいます。分類法そのものに問題はないのですが、各博物館美術館の蔵書目録は、おそらくデータ1件について、1分類という分類のしかたをしているとおもいます。たとえば、『かみとほとけのかたち』栗東歴史民俗博物館、『役行者と修験道の世界』大阪市立美術館 などは「宗教」の分類にはいっています。「彫刻」あるいは「絵画」の分類には掲載されていないのです。こういった分類方法をとると、その分類に信頼性がなくなります。

これはコンピューターでデータ化されたものを、プリントしたためにおこったことです。というよりも、データを項目に入力するときの問題が露呈しているのです。データベースではインデックスとしての分類項目をあげて入力しているのですが、それには、1項目1データという原則で入力されていたとおもわれます。『かみとほとけのかたち』という図録は「宗教」だけでなく「彫刻」「絵画」をテーマとしているのです。したがってその分類に図録データがなくてはいけません。

この問題を解決する方法は、実に簡単なのです。インデックスに複数のデータを入れるようにすればいいだけの話です。私の今使っているACCESS2007はやっと1項目に複数のデータを入れることができるようになりました。いままでは、1項目に無理に複数項目を入力して、部分抽出という方法をとらざるをえなかったのです。もっともこの方法を使うと、この項目での並び替えができません。

この総覧はたしかに便利です。しかしさらに望むのならば、その本に掲載されている論文の目録をいれてほしかったのです。そこまでは、おそらく、もとのデータベースの入力項目にないのでしょう。各美術館博物館のデータベースの構造の更新が必要になってきます。そこまでできるようになるには、まだ時間とお金が必要なのでしょう。

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