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2008年4月25日 (金)

科学博物館のステンドグラス

Photo  小川三知というステンドグラス作家がいたのを、この本で初めて知りました。日本でステンドグラスの技法を初めて伝えた人は、宇野澤辰雄だというのは知っていましたが、宇野澤と同じ年で小川三知という人が、日本で、宇野澤に続いてステンドグラスを始めたというのです。宇野澤はドイツで技法を学び、小川は美術学校を卒業した画家でしたが、アメリカに渡って、ステンドグラスの技法を学び、宇野澤に続き、ステンドグラス工房をつくりましたが、昭和3年になくなりました。

しかし、宇野澤、小川の工房からでた多くの技術者が、その後の、日本のステンドグラス技術を継承していきました。今でもある松本ステンドグラス製作所大竹ステンドグラスは、その系統をひく老舗です。

そんなで、この本を見ていると、なんと国立科学博物館にあるステンドグラスは小川の工房でつくられたものと書いてありました。さらに、松本ステンドのHPを見ると、その改修工事を松本ステンドが行ったとでていました。

これは、見に行くっきゃないと思い、毎月の通院日の今日、何十年ぶりに科学博物館に入りました。本館は、ちょうど改修工事が終わったばかりで、きれいになっていました。

Photo_2 これは、正面の吹き抜けのドーム部分にあるステンドグラスです。4方4面におなじ図柄ではいっています。

科学博物館は、宝相華、鳳凰をモチーフにしたステンドグラスがほかにもありますが、この図案は伊東忠太によるもの、ということが、この本の著者、田辺千代氏の他の著書『昭和初期の博物館建築』によって、明らかにされています。

 

 

Photo_3

これは、建物の両翼部分の3階階段室の天井にある明かり取りのステンドグラスです。松本ステンドによると、改修時は、ほこりがたまって、色がよくわからないくらいだったのが、クリーニングによって、もとの鮮やかな色にもどったと記載されています。

田辺によると、もともと外国の建築にしかなかったステンドグラスが、明治中期から昭和戦前期に至るわずか五十数年で、日本に根を下ろした背景には、日本人が古くから親しんできた障子文化の存在があった。と言っています。たしかに、日本の障子は、はやくから、雪見障子といって、障子に硝子をいれていましたし、その硝子にも、模様をつけたスリ加工をしていました。いはば、模様付きの開口部には日本人は違和感なく受け入れてきたのでしょう。

しかし、現代の住宅にステンドグラスがなかなか普及しないのは、原色にちかい色に対するアレルギーがあるのと、今のプレファブメーカーの住宅に関するデザインが、ステンドグラスを拒否しているようにも思えます。まだ、日本人は住宅での、鏡と色ガラスの使い方に習熟していないように思うのは、私だけでしょうか

もうひとつ、私が昔、よく行っていた、上野池之端仲町通りにある小川眼科の建物の玄関にも、小川三知の作品がありました。さっそくそれも、写真に撮ってきましたが、それは、またの機会に。

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コメント

2・3ヵ月前、NHKの『美の壺』で日本のステンドグラスについて取り上げていました。そこで小川三知のことを知りました。
下のバックナンバーをご覧になってみてください。
http://www.nhk.or.jp/tsubo/arc-20080222.html

ステンドグラスというと西洋風というか、キリスト教風の印象しか持っていませんでしたが、この番組で日本画の「線」を意識した小川の作品に接して目を見張りました。
マンション住まいでは窓を改造することなど叶わないことですが、せめてステンドグラスの嵌ったついたてかなにか欲しくなりました。

よく行く図書館の吹き抜けにもステンドグラスがあって、朝の光が七色に変わって本の背に当たるときれいです。

図書館にいったら、「小川三知の世界」の本がありましたので借りてきました。その中に、安中教会も出ていました。軽井沢に行った時、前を通りましたが、覚えておいででしょうか。
だいぶ以前には、何回か中へ入っていますが、ステンドグラスは全く記憶にありません。最近は、いたずらが多いせいか、教会のくせに鎖なんかして入れないようにしてあります。本を見た限りでは、日本風というか民画風というのかなかなか風情があって、いいもののようです。

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