鳩山会館のステンドグラス
『小川三知の世界』のなかで、都内で見ることができるステンドグラスがありました。それが、この鳩山会館です。「音羽御殿」と呼ばれていた、あの旧鳩山一郎邸です。平成7年修復工事後、公開するようになりました。
この建物は大正13年に竣工した、鉄筋コンクリートのたてものです。設計は鎌倉国宝館、上野の黒田記念館(旧東文研)などを手がけた岡田信一郎です。改修工事は竹中工務店が行ったようです。そのときの専門協力業者の名が邸内に展示してありました。
1階の応接室にあるステンドグラスは鳩山家の紋章を描いていますが、左右紋章のデザインが微妙に違っています。田辺千代によると、改修時に、このどちらかのステンドグラスは裏返しに嵌めたらしいこと、さらに、改修時にこのデザインをした三知でも、大村友雄のものでもないサインを焼き付けてしまったことが、指摘されています。エンブレムの部分は色硝子を鉛線でつなぐのではなく、模様は焼き付けています。
階段の踊り場の窓にあるステンドグラスがこの建物の中で一番おおきなものでしょう。左下の五重塔のある窓だけが、ステンドグラスを二重に嵌め込んでいます。そして、軒下の組み物の黒い線と、屋根瓦を黒い色で焼き付け、外側は組み物部分を赤の色硝子で嵌め込んでいます。ここだけ非常に手の込んだやり方をしているのは、小川が五重塔の組み物の部分を詳細に表現したいがためのやり方だったのではないのでしょうか。田辺千代は著書に中で、設計者の岡田信一郎が法隆寺の五重塔をモデルに選んだとありますが、ちょっと違和感があります。
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