武相荘
梅雨の合間の日曜日、鶴川の武相荘へ行ってきました。行こうと思いながら、なかなか実現せず、やっと、行くことができました。小田急線鶴川駅からバスで10分ほどのことろですが、もうまわりは、住宅がびっしりと建ってしまって、白洲が住んでいた頃の、田園風景はもうありません。わずかに、小高い丘の上に建っているため、白洲の土地だけが、木々が繁っている状態です。ここは、白洲が戦前の昭和18年に、ここに転居してから、昭和60年死去するまで、40数年間住んでいた家です。その間戦後、吉田内閣の中枢で仕事をし、50才を前にして、公職をやめ、野に下った後、ここで、悠々自適な生活をしていたのです。
以前からですが、白洲正子のブームから、白洲次郎が脚光をあびるようになってきました。そして、白洲がダンディな生涯をとげた人物ともてはやされるようになり、ますます、おじさん族のあこがれの人になったようです。
しかし所詮は、カントリージェントルマンといっても、ポルシェを乗り回している田舎人間では、金持ちの道楽と受け取られても仕方ないでしょうが、それを、臆面もなく、してしまうところが、白洲夫妻のすごいところのような気がします。正子さんの美的感覚のすごさに、ちゃんと対応できる感受性を持っていた人か、正子さんのやることすべてを受け入れる広い包容力のある人間だったのでしょう。でも、白洲次郎という人はせっかちで、無愛想な人だったようです。
武相荘の萱葺の母屋は、住んでいたときとほとんど変えていないようですが、正子さんの蒐集した、陶器などを展示してあり、美術館のようになっているのですが、むしろ、実際に住んでいたときの状態にしてくれた方がよかったように思います。現に、正子さんの書斎はそのままに保存してあり、掘りごたつ式の机になっていて、ここで、さまざまな本の執筆をしていた様子が想像できるのです。
武相荘の穴場をひとつ御紹介します。長屋門のすぐ横にある便所の建物です。個室が3つありますが、そのすべての窓にステンドグラスがはまっています。しかも、みなデザインが違います。是非ひとつひとつ入ってみてください。お茶処で、しっかりと水分をとってがんばって3つ征服してください。
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