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2008年8月 3日 (日)

茶房早稲田文庫

Photo 昔、早稲田大学のそばに、『茶房 早稲田文庫』という喫茶店がありました。外観は民家風のつくりの建物で、冨安龍雄、郁子ご夫妻が経営しておられました。冨安さんは、早稲田大学の国文をでて、戦後この地で、喫茶店を開きました。早稲田大学出身の文学者と交流があり、そのたまり場を喫茶店に改造したものでした。私は、昭和43年に早稲田大学に入学してから、通いはじめました。最初はサークルのたまり場だったので、毎日のように顔をだして、誰かいないか、さがしていました。学部を卒業して、大学院にいくようになると、図書館の帰りに必ず寄って、カンバンまで居座りつづけました。仕事についてからも、仕事が終われば、夜に、出かけていきました。

 

Photo_2 そして、昭和59年11月とうとう、茶房早稲田文庫は閉店となりました。閉店にあたって、茶房にあるものすべてを、売却するということになりました。私とS君で、茶房にあるすべての物を、写真に撮って、調査し、財産目録を作成しました。そして、3日間、蔵出しという売り出しをして、すべて売却しました。茶房の思い出にと、ゆかりのある人が買っていきました。

もう早稲田大学のそばには、茶房の痕跡もありません。記憶がだんだんと薄れていきます。冨安さんのこと、おばさんのこと、そして、茶房で会ったさまざまな人、いろいろな思い出があります。今、その記憶を確かめておかないと、ますます忘却のかなたへいってしまうという危機感におそわれています。

幸い、早稲田文庫を継いで、日下さんが吉祥寺で『武蔵野文庫』を開いているので、かろうじて、その記憶がよみがえる場があります。いまのうちに書いておかなければいけないことが、たくさんあります。すこしずつ、整理しながら書きとめていこうとおもいます。

 

Photo_3 落書帳は、むかしから茶房に常備してあったものです。この落書帳は、最後の落書帳で私が造ったものです。表紙は徳本立憲先生の筆になります。徳本先生は茶房のおじさんの油絵の先生だった有名な洋画家ですが、今年なくなりました。また、茶房を知る人がいなくなりました。私も大変お世話になった先生です。ご冥福をお祈りもうしあげます。

この落書帳には、閉店前に茶房で行ったお別れ会に出席した人の署名があります。井伏鱒二、小沼丹、紅野敏郎、新庄嘉章などです。

茶房にあったいろいろな品物の記憶がだんだんと薄れていかないように、すこしずつおもいだしながら、書いていこうとおもいます。今日はとりあえず、この辺で。

 

 

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コメント

うわぁ! 茶房の写真、なつかしいですね!
自分のブログで茶房のことをとりあげたとき、当時の写真がなくて残念な思いをしていたんです。

あの閉店から、もう四半世紀もたってしまったんですね。
これから先輩にあの頃、あの店のこと、いっぱい書いていただきたいと思います。
楽しみにしています。

実は、この写真は私が撮ったものではありません。ちょうど、茶房が閉店するときの写真ですが、『茶房武蔵野文庫』にあったものです。以外と、茶房の写真は私も撮っていないので、その当時のいい写真がありません。読者の中で、いい写真がありましたら、ご一報願えればとおもいます。
今、『茶房武蔵野文庫』にある早稲田文庫時代の古い資料を借りて、すこしまとめながら、ブログに書いていければなあ、と思っています。
皆さんの御協力をお願いいたします。

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