服部コレクション展
早稲田大学會津八一記念博物館で、9月24日から10月16日まで、『服部コレクション 小金銅仏の世界』展が開かれています。服部和彦氏のコレクションを早稲田大学に平成17年に寄贈されたのを期に開催された展覧会です。
服部氏は奈良国立博物館にも仏教工芸を中心に60余点寄贈されており、去年6月に奈良博で、『古玩逍遥ー服部和彦氏寄贈仏教工芸展ー』が催されたのは、記憶に新しいことだと思います。今回、早稲田大学に寄贈されたのは、東洋古美術660点と群を抜いて多くの古美術品でした。とくに、金銅仏、鏡等金工品を中心とした仏教工芸関係がその中心のようです。
今回は、仏像のみ、102点に及ぶ展覧会です。その内訳は、中国は五胡十六国時代から清、近代におよび、朝鮮では、新羅から李氏朝鮮時代まで、さらにチベット、タイ、インドの仏像までおよんでいます。そのほとんどが高さ10㎝にも満たない小金銅仏です。
服部氏は昭和47年に『和玄洞古玩図録』という自身のコレクションの図録を出版していたのは知っていたのですが、その本は、仏教工芸品が主の図録だったように記憶していたので、こんなに仏像も蒐集していたとは知りませんでした。
一度、ご長男にお会いしたことがありましたが、その時は、まさか、父上が服部和彦氏だとは、知るよしもありませんでした。
今回は、そのご長男が卒業生ということで、寄贈が実現したのだそうです。會津八一博物館の所蔵品には、明器、鏡のコレクションは数多くありましたが、こういった、仏像などの蒐集品はほとんどなかったとおもいます。その意味で、格好の実物教材となるのは、喜ばしいことです。會津八一も、実物を教材とするべく、自腹をきって蒐集したものと、聞いています。学生の見る目をつけるために、同じような形のものを揃えた、と先生から聞いたことがあります。だから、會津先生の蒐集したものは、すべていいものばかりではない、と。
カタログ中の岡本文一氏の文章によると、父親の服部和彦氏は尊敬していた石田茂作氏から、「つまらないものを買うな」といわれていたのが、それだけは守れなくて、目の前に古美術品があると、とにかく手にいれてしまったそうです。
しかし、今回の小金銅仏をみてみると、結果的に、會津八一の蒐集に似てしまったような気がしました。これだけの幅広い時代の仏像が一同に見られるのですから、仏像の見る目がつくことは間違いありません。その意味では、早稲田大学の美術史学科は実にすばらしい教材の寄贈を受けたとおもいます。こんな、身近に実物があって研究できる環境は、他にはありません。実にうらやましいかぎりです。
あとは、こんないい環境ならば、きっとすばらしい研究成果が出てくることを大いに期待します。もう、言い訳は効きませんので、あとは、すばらしい発想力が勝負です。
追、展覧会には虫眼鏡を持参されることを、推奨します。なにせ、非常に小さいものですので。
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