初秋の鎌倉(承前)
鎌倉大仏は久しぶりの拝観でした。今回ははじめて、大仏の内部に入りました。といっても昔入った記憶はあるのですが、全然おぼえていません。
内部にはいると、銅造の鋳造の様子がよくわかります。いわゆる鋳繰りの方法は、この大仏では3種類の方法が用いられていると説明されています。
まず「技法1」は鋳継の部分が横に太い帯状に出っ張っているのが、よくわかります。
「技法2」はボルトの頭のようになっているところがそれです。
「技法3」は肩の曲線部分に用いられた最も巧妙な手法です。
鎌倉大仏は、奈良の大仏と違って、螺髪も一緒に鋳造しています。内部から見るとそれがよくわかります。

昭和36年に行われた修理報告書によると、頸部の修理と、台座の免震工事、裳先の修理工事を行っています。
たしかに、この大仏の頭部は前にかがんでおり、頚部に相当の負荷がかかっているのは、容易に推測できます。
おそらく、赤い部分がその時の修理で、FRPを接合して補強した所だとおもいます。
これだけの鋳造技術は本当にすばらしいものだとおもいます。手をあてると、日の当たっているところが暖かいのです。何か昔の工人の思いが伝わってくるようです。
もどって、鎌倉国宝館へ、行こうとしたら、ちょうど流鏑馬をやっている最中に当たりました。ところが、流鏑馬の馬場は、八幡宮から直角にあり、通り抜けできません。しかたなく、大回りして国宝館へ行くしかありませんでした。
そのため、いつも八幡宮の境内にはいっても、本殿にお参りすることはありませんでしたが、ひょんなことから、お参りすることになりました。ついでに宝物館も見学となりました。
鎌倉国宝館へ行くと、その入口の前で規制線があり、国宝館へはガードマンの許可がないとはいれませんでした。ということは、国宝館へ行くといって中にはいれば、流鏑馬が目の前で見られるということになったのです。しかも、国宝館の入口の階段からは、丸見えです。
そんなこんなで、流鏑馬に目を奪われてしまいましたが、国宝館の入口の扉には、小川三知のステンドグラスが嵌っているのです。
馬が来るまでは、ステンドグラスをみて、馬が走り出すというアナウンスがあると、一瞬走り抜けるのを待って目をこらしたりと、いそがしくして、見ていました。

さて、小川三知のステンドグラスは非常にオーソドックスなデザインです。たしかに、今まで何度となく、国宝館に行っても、そんなに印象がありませんでした。今回、近くで詳細に見てみると、その丁寧な仕事ぶりがわかります。とくに補強の真鍮棒は、実にうまく接合されていました。小川三知はデザインだけではなく、確かな技術も持っていたのがよくわかります。
« 初秋の鎌倉 | トップページ | 『鎌倉大仏殿』考 »
「旅行」カテゴリの記事
- 小浜散策(2017.10.17)
- 関西仏像旅(2017.05.07)
- 安土・神戸・姫路の旅(2017.03.20)
- 豊橋、浜松の旅(2017.02.19)
- 京都・道明寺・南山城の旅(2017.01.29)
コメント
« 初秋の鎌倉 | トップページ | 『鎌倉大仏殿』考 »

いつも豆に、また丁寧に見学(兼学)されていらっしゃいますね。感服しております。鎌倉の大仏は、阿弥陀の中ではやはり一番の美男だと思いますが、鋳物の技術も素晴らしいと思います。
私の親父も一級の鋳物工で三菱で船造ってましたが、やはり褒めてました。鎌倉時代に、あの重量物を鋳継ぎの技術と工夫、型は土型か砂型。またその併用か。右ほほにはいまだ金箔も残っていて、鍍金の仕方も奈良から進歩していたのでしょうか。建物は津波で崩壊してますが、あそこまで津波が来たという事実も覚えておく必要があると思います。南無阿弥陀仏。
投稿: 源護謨長 | 2008年10月 6日 (月) 21時22分