旧前田侯爵邸
駒場公園の中に、旧前田侯爵家駒場本邸があります。和館と洋館がありますが、写真はその内の本邸と呼ばれる洋館です。鉄筋コンクリート造、地上3階、地下1階で、イギリス・チューダー式の建物です。外観はスクラッチタイルを貼り、落ち着いた雰囲気を見せています。内部は各室に大理石を用いたマントルピースががあり、柱や、家具など木部にはそれぞれ彫刻をほどこしており、非常に豪華な内装になっています。
2階にあがる階段には、背の高い窓が3箇所あり、それぞれにステンドグラスが嵌っていますが、キャセドラルガラスによる、抽象柄の模様になっています。色も濃さのちがう黄色のガラスを使った配色です。階段の下の窓にもステンドグラスがありますが、上の階段室を同じもようです。
1箇所、ひと部屋のみ、ちがった柄のステンドグラスがありました。これは色ガラスをつかわず、花の模様をデザインしています。しかし、花と花の間のガラスの形は、入り隅の切り方をしているので、技法的にはむずかしい形ですが、しっかりと造られています。
内部はさまざまなところで、彫刻をほどこしており、非常に装飾的なので、窓ガラスのステンドグラスがあまり派手にならないようにこのような落ち着いたデザインにしているのでしょうか。ガラスだけを見ると、何かもの足らない感じがしますが、バランスとしては、その方がよかったのでしょう。
もうひとつ気になったのは、普通の両開きの窓です。ここに嵌っている透明ガラスは二重に入っています。現代ならば、結露防止のために複層ガラスをいれるところですが、その頃にはまだ生産されていなかったようです。しかし、二重にするという発想はもうすでに考えられていたということで、断熱ということも考慮されていたようです。しかし、木製サッシで、このような施行では、結局内部結露をおこしたでしょう。
外部の反対側にまわると、外観もかなり装飾的になっています。やはり、昭和4年(1929)年建築の建物としては、非常に豪華な造りです。
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