旧蜂須賀邸
三田の慶應大学の裏にオーストラリア大使館がありますが、そこは、旧蜂須賀邸のあった所で、今はオーストラリア大使館がその敷地を買って大使館としたものです。その敷地にあった蜂須賀邸は、昭和3年、森山松之助の設計で建てられた洋館だったようです。
その建物に嵌っていたステンドグラスがいま、港区郷土資料館にありました。その建物の解体時に外してきたものだそうです。
ひとつは、50㎝四方が2枚。これは、天井の明かりとりとして、嵌っていたようです。裏面からみると、鉛線のメッキがはがれ、よごれがかなりひどく残っています。また、天井に平に嵌っていたために、湾曲して、ところどころに、ガラスにひびが入っています。せめてクリーニングすれば、もとのあざやかな色彩が楽しめたのに、また、照明もしっかりと裏面からあてれば、よりあざやかさがでるのに、と残念でなりません。
ガラスはオパールセントグラスと、キャセドラルガラスをうまく使い分け、鉛線も2種類の太さのものを使ってアクセントをつけていますが、残念なことに、ハンダの技術がなっていません。これは、補修でそうなったのか、もともとハンダの技術が未熟だったのかはわかりませんが、鉛線からはみでたり、表面の仕上げがガタガタです。
もうひとつ、両開窓に嵌ったステンドグラスがありますが、これは、色ガラスの部分のみ当初で、そのほかは、透明ガラスをいれて、いはば、復原したものです。これも、クリーニングすれば、もっとあざやかになるのに、残念です。
それにしても、建物の取り壊す前によくぞ外して保存してくれました。部分的にでも、残せば、それはそれで、貴重なものとなります。
「ステンドグラス」カテゴリの記事
- 瀧山邸のステンドグラス(2024.09.11)
- 文化のみち二葉館のステンドグラス(2024.08.07)
- 戦前刊行のステンドグラス図案集から(2024.06.07)
- 旧須藤邸 ステンドグラス編(2022.10.06)
- 橋本の香(旧三桝楼)のステンドグラス(2022.05.02)
コメント