旧島津邸
先日申し込んでいた、旧島津邸の邸内見学の許可証をもって、清泉女子大学の校内に入りました。女子大というと何か緊張感がはしります。五反田の閑静な住宅街の中の高台にその女子大学はありました。この辺はその地名どおり、島津山です。島津邸のあったところがいまは清泉女子大学の敷地になってます。
設計はジョサイア・コンドル、大正4年竣工、大正6年に落成披露が行われたそうです。建物は地上2階、地下1階の煉瓦造りで、ベランダが一部曲線で膨らんでいますが、建物も、その部分は曲線を用いて、窓ガラスも非常にめづらしい曲面の加工をしています。
この建物の前は広い庭になっていて、学生がこの芝生の上で昼食をとっていました。じつに優雅なキャンパスです。
さて、この建物にはふんだんにステンドグラスが嵌っています。
まずは、玄関正面の丸に十の字の島津家の家紋がはいったランマがあります。
内部の入口もランマ、ソデのFIXから、ドアのガラスもすべてステンドグラスになっています。
玄関横のドアのステンドグラスです。下部の中央のガラスはいわゆるベベリング(面取り)した透明のガラスになっていて、反対側が覗けるようになっています。
2階に上がる階段の踊り場にあるステンドグラスの窓です。中央ホールから上る大階段の正面に堂々としたデザインを見せています。いはば、メインの見せ場なのですが、実にさりげなく見せています。島津邸のステンドグラスは、この他に、窓の上部のみに使ってみたり、ドアの額に使っていますが、ガラス全体に色ガラスを使うということはなく、窓枠にひとつの模様のみ表現するような使い方をしているようです。
これは玄関脇の両そでにあるステンドグラスですが、窓に嵌っているのとはちがって、窓枠全体に幾何学模様をあしらっています。
このようにこの島津邸のステンドグラスはさまざまな形式の模様を使っています。
しかも、補強の真鍮棒は、丸棒で留め金で留めていますが、ガラスに密着していないので、反対側(見る側)からはその影が見えにくくなっています。
さらに、そのハンダの技術はすばらしいものがあります、鉛線に全体にハンダをかけていますが、実に滑らかなハンダ作業です。相当の腕のある職人の技と見ました。
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ご訪問いただいた大学に勤務している日本彫刻史研究者です。
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どうぞ今後ともよろしくお願い申しあげます。
投稿: 教員 | 2008年12月 4日 (木) 21時39分