ステンドグラス
ステンドグラスとは、と大上段にかまえると、以外とつかみどころがないのです。まず、ステンドグラスを日本語に訳すと、Stain とは著色のことを意味しているので、いはば色ガラスをつかっていれば、ステンドグラスといえなくもないのです。
水前寺公園のすぐそばにあるジェーンズ邸は明治でも初期の洋館です。一部当初の泡だらけのガラスも嵌っていました。
このジェーンズ邸のドアのガラスはまさに、色ガラスをつかっているので、ステンドグラスといってもいいのでしょうが、ちょっとそう呼ぶのに違和感があります。
藤森照信氏はこういうガラスが、明治初期の擬洋風建築によく使われていたので、「擬洋風ステンドグラス」と呼ぶべきだと言っています。
なるほど、鉛ではなく、木の桟にはめられたガラスとしては、実にいい名前かもしれません。
そういえば、松本の開智学校のファンライトには色ガラスを使った窓がありました。
また、横浜の山手聖公会の教会のステンドグラスはこのような色ガラスを使ったものでした。
ところが、今井兼次設計の大隈記念館の2階正面の窓は、スチールサッシに真っ赤な色ガラスをはめ込んでいるのです。正面中央下の2枚のみ黄色のガラスでその他すべて真っ赤な色ガラスなのです。
内部の撮影が禁止でしたので、内部からの映像が見せられませんが、中はまるで、夕やけの中にいるようです。
こんな色ガラスの使い方は、明治初期の「擬洋風建築」に使われたのなら、藤森氏の説で納得するのですが、この建物は昭和41年の建物です。これもステンドグラスなのでしょうか。記念館のパンフレットによると、大隈侯が早大総長時代に愛用したえび茶のガウン(早稲田のスクールカラー)を表している。と書かれていますが、ちょっとコジツケのしすぎかなと思います。
それにしても、今井兼次はなぜこのような色ガラスを大胆に使ったのでしょう。ずいぶんと思い切ったことをしたもんだと感心することしきりです。
よく見ると、建物自体もたいへんユニークな外観をしています。惜しむらくは、コンクリート打ちっ放しはいいのですが、汚れが非常に目立ってきています。十分なメインテナンスが必要な時期です。
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