世田谷巡り
午後から雨がやむという予報を信じて、世田谷美術館へ「平泉 みちのくの浄土」展を見にいきました。東京展が最後となるので、もうすでに仙台、福岡で見てこられた方の報告もあるので、あえて、コメントは差し控えて、砧公園を横断して、静嘉堂まで歩いていきました。ここは、以前「タモリ倶楽部」でやっていた国分寺崖線があるところです。
今回の目的は静嘉堂ではなく、そのすぐそばに「瀬田四丁目広場」なる公園のようなところがあり、その中に旧小坂邸があります。ちょうど国分寺崖線の上に建っている住宅です。
この岡本から瀬田にかけては、かつて別荘が立ち並んでいました。高橋是清邸は小金井のたてもの園に移築され、旧第一銀行クラブにあった、誠之堂、清風亭は深谷に移って残っているくらいで、移築されていないのは、この小坂邸ぐらいのようです。
建物は昭和12年に清水組の設計施工で建てられ。まあごく普通のお金持ちの和風住宅とでも言ったらいいのでしょうか。ただ、崖上に建っているので、庭はその崖を利用して斜面に作られています。
何故この建物が気になっていたかというと、この小坂邸にはステンドグラスが嵌っていたという情報を得ていたからです。中をざっと見渡してみても、嵌っているような窓がありません。と、中にある土蔵の中を見てみると、木枠に入ったままのステンドグラスが二枚、壁の奥に置かれているではありませんか。職員の方に話をして、廊下まで出してもらいました。あいにくと、まだ外は雨が降っていて、外光がよくはいりませんので、ステンドグラスの鮮やかな色がわかりませんでしたが、それでも、トーチのデザインのステンドグラスが二枚おなじ図柄でありました。トーチ部分など細い鉛線をつかって、確かな技術で作られているようでした。惜しむらくは、ガラスが湾曲していること、ガラスが1枚破損していること、など補修の必要が生じている状態です。これがどこに嵌っていたのかわかりませんが、両側の透明のガラスで挟み込まれているので、よく保存されているほうでしょう。クリーニングして外光を通して見ればそのすばらしさがわかると思うのですが。
『世田谷区文化財調査報告集ー10ー』平成13年刊に「旧小坂家住宅」の調査報告があります。それによると、小坂家の追加工事に関する資料として、「玉川御別荘窓ステンドガラス御入費・請求書・見積書」があると書いてあります。それには、
- 寝室窓欄間ステンドガラス2尺6寸/1尺(4枚)
- 同 2尺6寸/8寸5分(2枚)
とありますが、現在ある2枚は高さがざっと見ても4尺以上はありますし、巾も1尺もありません。どうも資料と現物は違うようです。しかし、見積書にはひょっとしてステンドグラスの製作所の名があったかもしれません。とすると誰が作ったかがわかるのですが。
それにしても、この2枚のステンドグラスはどこに嵌っていたのでしょう。
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