旧西尾家住宅
旧西尾家住宅(吹田市文化創造交流館)はJR吹田駅より徒歩で10分位の住宅地の中にありますが、敷地がおよそ4500㎡もあります。西尾家は江戸初期より、この地の庄屋で、14代続いていましたが、当主没後、相続税として物納し、今は吹田市が管理しているとのことです。建物は明治中期の主屋と、大正14年、武田五一によって設計された離れがあります。
武田五一の後妻がこの西尾家で育てられており、いはば、妻の実家のような家であったらしく、11代の隠居所として、離れを設計したとのことです。建物は木造平屋で、洋風棟と和風棟にわかれ、渡廊下によってつながれています。
洋館は撞球室と洋間で構成されています。その洋間の出窓とサンルームとの入口と窓のランマにステンドグラスが嵌っていました。
デザインはおおざっぱな花の模様ですが、すこし抽象化しているようです。
サンルームとの出入口のランマは、花瓶にはいったシンメトリーな花のデザインです。
窓の上のステンドグラスも同様なデザインをしています。
この洋室のステンドグラスは、デザインが抽象化しているところを見ると、武田自身のデザインかどうかだったかは、むずかしいところです。
武田はこの建物に面取りガラスを多用しています。主屋の増築の戸にはすべて面取りガラスを使っていますし、洋館の窓も面取りガラスです。面取りガラスはキラキラと輝き一見華やかに見えますが、普通は木造の建物の外部の窓にはあまり使われていません。
もうひとつ、ステンドグラスの位置ですが、出窓は和風棟の前になっています。またサンルームのランマも、天井のすぐ下で、サンルームの天井は勾配があり、直接ステンドグラスに光が当たらない位置にあり、室内にいても、ステンドグラスの色のあざやかさを楽しめないという欠陥があるようにおもいます。そのために、洋館としての華やかさがありません。
それにくらべて、和風館の玄関はさすがに、武田は茶室建築の研究をしていることもあって、実におちついた設計をしています。西尾家には5つもの茶室があるほどで、藪内家が茶室、露地の指導をしており、武田はそれだけ力をいれたのでしょう。
建物はボランティアの方がづっとついて案内していただきました。最近、この手の案内方法によく出会います。建物の維持管理には最良とは言はないまでも、いい方法だとおもいます。しかし、もっとお金をかけて、ちゃんと維持管理はしてほしいものです。建物は使わないとその維持ができないものだと思うのですが。
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