大寺薬師の菩薩像
今回の旅行は、『石見の仏像』展を見ることでしたが、以前から気になっていた仏像をもう一度確認したいという目的もありました。
そのひとつが、大寺薬師です。薬師如来坐像と四天王立像、そして、日光・月光菩薩と2躯の観音菩薩像が安置されています。
その中で、4躯の菩薩像の“目”がどんな彫法をしているのかを確認したかったのです。
まず、観音菩薩立像(大像)です。眼球のふくらみを表していて、それから瞼を彫っています。しかも、かなり下の位置に瞼を彫っているのが気になるところです。
この月光菩薩像も上像と同様ですが、目の中に墨で黒目を書き込んであります。当初のものかはわかりません。
薬師如来坐像です。目の彫法はごく一般的な位置に彫られています。目は墨と白色で彩色されています。

日光菩薩像の目の位置は一般的な場所にありますが、上マブタふくらんでおり、そのマブタの下に墨で黒目が書かれています。
観音菩薩像(小像)は、フシがいたるところにある仏像です。目の位置は普通の場所に上下のマブタとも彫られています。
このように、目の彫法に限って見てみると、観音菩薩像(大像)と月光菩薩像が特異な彫法をしているのがわかります。伏し目の表現にしては、あまりにも、眼球の下の位置にありすぎます。近づいて、見上げても、目の位置は下にあって目が合いません。
これは、井上正氏が唱えている“化現の始まったばかりの表現”なのでしょうか。今回は見られなかった、仏谷寺の伝虚空蔵菩薩像は井上氏のあげた例証にはいっていますが、写真で見るかぎり、眼球の中央にうっすらとマブタを彫っています。こんな下の位置にマブタを彫っていません。
実際に、この2躯の仏像を見てみると、マブタは当初から彫られていたのか疑問がわきます。もとは“無眼”だったのではと思いたくなります。他の像を見比べても、あまりにも異様です。
また異様なのは、観音菩薩像(小像)です。この仏像はフシだらけの木材を使っています。頭部もそうですが、腰部にも2個所のフシがあります。こんな木材では、きれいな仕上ができないのは当然です。そのままでは彩色などできるはずがありません。素木でそのままだったのか、あるいは塑土で補修したのでしょうか。
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