藤田喬平のガラス作品
前回お話したように、藤田喬平美術館は展示品の写真撮影が全てOKでしたので、その作品のいくつかを紹介しようとおもいます。
この美術館はホテル松島一の坊の社長が館長をつとめています。しかし、藤田の生前に開館していますので、いはば藤田公認の美術館といえるかもしれません。それだけ、いいものを集めているようです。
第一展示室には藤田喬平の定番ともいえる、飾箱がありました。これは、琳派の作品をガラスで表現しようとした。ということですが、むしろ、ガラスの発色の鮮やかさを生かして、さらに日本的なモチーフをとりいれた作品で、非常にユニークな作風をつくりだしています。
最初にこれを見たときは、何で、琳派をガラスで表現しようとしたのか理解できませんでした。今になって見ると、むしろ、ガラスという素材を最大限引き出している作品なのかな、とおもったりします。
昔、藤田作品を所蔵しているある美術館の学芸員に聞いたことがあります。この金箔はガラスに溶着しているはずですが、はがれやすく、取り扱いがむずかったそうです。
このヴェネチアン・グラスの伝統文様といわれるカンナ文様(注:カンネでは?)を使った花瓶は、比較的後で作り始めたようです。
昔、バブル絶頂期に百貨店で藤田の展示即売会を見に行ったことがありました。そのときは、飾箱とレースグラスの椀くらいしかなかったと記憶しています。
レースグラス作品は、藤田作品の中では比較的おとなしい作品です。しかし、これが私には一番藤田らしいとおもったのですが、どうも他を見ると、あまりにもインパクトがないようです。
技法的には非常に高度なテクニックを使っているのですが。
そのバブルの時の展示即売会では、こんな碗がその当時、私のポケットマネーでも買える値段で売っていました。
ガラス工芸は、陶磁器とくらべて、一段低く見られていたので、安く買える値段だったのですが、購入はしませんでした。
いまさら後悔してもはじまりませんが、今となってはコレクターにならなくてよかったとおもいます。所有欲というのは誰もが陥る悪魔の誘惑です。クワバラ、クワバラ。
外の庭には、チャペルが建っています。窓にはステンドグラスが色鮮やかに嵌っていますが、藤田の作品とおよそ不釣り合いなステンドグラスです。
まあ、人生色々~♫、ガラスも色々~♪ ということですか。
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