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2010年2月24日 (水)

開運なんでも鑑定団

 昨日、夜9時頃、拙ブログをなんとなく見ていると、やけに、カウンターの数字が増えているのに気がつきました。

何だろうと思って、アクセス解析をしてみると、その多くが「渡辺与平」で検索して拙ブログにアクセスしているのがわかりました。

すぐに、新聞のテレビ欄をみると、やはりテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」の放送している時間でした。その内容には「竹久夢二に匹敵!?幻の天才画家鑑定士絶賛」とありました。

すぐにテレビをつけると、ちょうど渡辺与平の作品が画面に出たところでした。さっそく例によって、出品者に本人評価額はいくらくらいですか?と聞きます。「では100万円」といいます。そして、紳助が「オープン・ザ・プライス!」と叫びます。鑑定士の上の表示板には「¥4,500,000円」の数字がでます。鑑定士の意見はおおむね好評でした。

その番組が流れているうちにも、ブログのカウンターの数字はどんどん増えていきます。

番組の終わる10時にはすでにアクセス数が450にもカウントされました。その後、その日のアクセス数は9時から12時まででも、687アクセスに達しました。

今日でも、9時の時点で426アクセスがありました。

こんなに渡辺与平について関心があるとは思いませんでした。テレビという媒体の威力なのでしょうか。

しかし、改めて、テレビ東京のサイトを開いて、鑑定に出された絵の一部を見てみると、見覚えのある絵がありました。実際の出品は12点だったそうですが、そのうちのサイトでわかる4点は、2008年1月17日~3月9日に長崎県美術館で開催された『長崎の美術3 渡辺与平展』カタログの目録に作品リストとして載っているものでした。つまり、出品された絵は“未発表の作品ではない。”ということです。テレビではそのことに一言もふれてはいません。個人が所蔵していた作品で、それを“大発見だ”と鑑定士が言うのは、それが初めて世に出たと想像させる言動で、実にだましに近いあやうい演出です。

『開運なんでも鑑定団』は、最初は実にユニークな発想で始まった番組で、毎回楽しみにして見ていました。単なる娯楽番組としてよりも、より教養番組に近い作り方をしていました。たしかに、美術品(骨董品)の商売の内実をテレビ画面で見せたのですから、金銭的ナマナマしさはあっても、隠れた美術品をテレビでみて、視聴者の審美眼を試されるスリルと、その真贋の判定がお茶の間でできることのおもしろさを味あわせてくれました。

しかし、最近、見なくなったのは、そのマンネリさもさることながら、番組に出品する作品の事前調査、鑑定に緻密さが見られなくなったことでした。テレビを通して見てもどうもあやしいのが、堂々と本物になってしまったり、骨董屋さん特有の値段の付け方、つまりキズがないか、箱があるか、など作品と直接関係のないところで、作品の価値を金額で評価する、といったやり方にやはり違和感を持ち始めたからです。

さらに、高尾曜氏のHP『蒔絵博物館』の「研究日誌」を読んでいると、すくなくとも2回「開運なんでも鑑定団」にその鑑定の間違いを指摘していながら、それに対して、テレビ東京は真摯な対応をしていない。と書いていることです。

  • 「開運なんでも鑑定団 池田泰真(テレビ東京)」2010.1.20 池田泰真?作の煙草箱
  • 「開運なんでも鑑定団の柴田是真」2008.3.25 柴田是真?作の青海波貝尽蒔絵硯箱

どうも、テレビ番組をエンターテインメントとして捉え、多少の事実誤認、あるいは、演出によって事実を隠蔽したり、あたかも本物のように表現しても、それは視聴率の前では許されるといった傲慢さがでてきているようです。

高尾氏の指摘するように、すぐに訂正すれば澄むのに、幅広い専門家の意見を聞く耳を持たなくなり、錯誤をすぐに訂正する勇気がテレビ局になくなったとき、それはもう番組の硬直化は進んでいると見たほうがいいでしょう。この番組の先は短いと見ました。

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