起雲閣(その2)
根津嘉一郎が建てたもうひとつの建物は、金剛の間とローマ風浴室です。
まづ、金剛の間の前室に入ると、天井は、切妻になっていて、そこにステンドグラスが嵌っています。
床にはタイルを敷いていて、いわゆるチューダー式の意匠をしています。
金剛の間の間仕切りの両側にステンドグラスのハメコロシが同じデザインで嵌っています。
中央の開いている部分には、扉はもともとなかったようです。
これも、玉渓の間のステンドグラスのように、花の模様で、華やかな感じをだしています。
金剛の間の、暖炉の両脇の上方に、両脇に2個所づつ、ステンドグラスの窓があります。
このステンドグラスは、今までと打って変わって、中国風のデザインをしています。
この窓の外側が廊下になっているため、外からの光が入らないので、次の写真は廊下側から撮ったものです。
そして、梁や柱には、彫刻で模様を彫って、部分的に象嵌をしています。
部分的に見てみると、玉姫・玉渓の間のように、和・洋・中の玉石混交となっています。
こういった何にでも取り入れてしまうというのは、根津が非常に好奇心がつよい性格だったからなのでしょうか。
この窓は、現在の洗面脱衣室にあるステンドグラスの丸窓ですが、これは、新しいようです。
創建当初の図面では、現在と脱衣室の位置が違います。また、この建物はもともと独立した建物なので、玄関や、和室がついていました。その部分は改装しているようです。
ローマ風浴室の窓は、この写真のように曲面になっている窓と、その横に平面でやはり3連の窓がついています。合計6個所のステンドグラスはすべて同じデザインで統一されています。
この窓は上げ下げ窓になっており、両脇の窓枠のなかに重りをつけて、そのバランスで開けられるようになっているものです。
ところが、この写真の窓は窓枠自体が浅い曲面になっており、したがって、ステンドグラスも曲面になっています。
こういった曲面のついた建具を造ること自体、高度な技術が必要です。両脇の溝の中に建具を滑らせないといけないので、ちょっとしたソリも許されません。
また、ガラスもその曲面になった、溝に収まるように組み上げなければならないので、技術的にもむづかしい仕事です。ガラス自体は曲面ではないのですから。
今回は、暴風雨の中だったので、広い庭から眺めることができませんでした。もっと季節のいいときにでも、近くの双柿舎といっしょにまた訪れようとおもいます。
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