神田のステンドグラス

小川町の交差点から、靖国通り沿いに神保町方面に歩いて行くと、“ミズノ”のビルがあります。“ミズノ”といえば、この辺のスポーツ用品店では、一番大きな店でした。中・高校生の頃は、よくスキー用品を見に（買いにではない）このあたりをうろうろしていました。

このビルも建て替えてから、ずいぶんと経っているとおもいますが、その玄関の前の床に丸くガラスが嵌っています。その硝子の下には、ステンドグラスがあります。店に入るには、必ずガラスの上に乗らなければならないのですが、大抵の客はおそらく気がついていないのだろうとおもいます。

よく見ると、真ん中には、“ミズノ”のマークがデザインされており、その次の円周は１２等分されていて、外側には、スポーツの種類の絵が描かれていて、その内側には、スポーツ用品の絵が描かれています。絵は、鉛線よりも、多くが絵付けで描かれており、文字も絵付けされています。

作家の署名らしきものがあるのですが、よく読めません。玄関先ということもあって、表面の透明ガラスがずいぶんとキズがついています。また、雨のかかる場所でもあるので、内部に結露がしていて、よく見えない個所があります。

中に照明が入っているのか、日が落ちてから見たことはありませんが、昼間ではちょっと見づらいのが残念な気がします。

そこから、駿河台下の交差点を過ぎて、神保町交差点の手前に、「一誠堂」のビルがあります。この辺では、古本屋の老舗です。建物は昭和６年に建てられたようです。

その玄関のランマにステンドグラスはありました。普段、よく行っている店ですが、古本屋に入るときは、大抵、目線を下にして、ワゴンに置いてある古本に目を向けながら、入っていくのが普通です。

それを今回は、上を見上げながら入っていくこととなりました。直線を多用したシンプルなデザインで、あまり目立つ色合いではありませんが、ところどころにある小さなガラスは鏡のように反射する素材を使っているようです。それほど出しゃばらず、それでいて、洗練された意匠です。

ガラスの中央部分の硝子は面取りにしてあり、その真ん中に一誠堂の金文字が書かれています。昔、このガラスに文字を書く職業があって、大抵の商店の入り口のガラス戸には、この金文字で、店の名が書かれていたものですが、今では、もうその職業もなくなってしまったようです。

さて、神田には、もうひとつ有名なステンドグラスの嵌った建物があります。

それは、またの機会のお楽しみということで。