フローチャート
全くもって、歯がゆくてしようがありません。
福島の原発事故のことです。
4月18日の新聞には、東電が原発事故収束のための“工程表”を示した、と報じています。
オイオイ、これが工程表?
現状の把握もできなくて、何で工程表が組めるの?
“工程表”というのは、さまざまな作業をどう順番に行うかの交通整理をするためのものです。したがって、作業内容は、確定していなければなりません。
新聞を読むと、あくまでも計画で、復旧のために考えうる、すべての方策を示したのに過ぎない。と書いていますが、これって、“工程表”ですか?
こんなわかりきったことを、東電は何故発表しなければならなかったのでしょうか。
東電の幹部、および、現場の指揮者は、あきらかにパニクっています。
工程表でもないものを、発表しなければならないというのは、現状の冷静な判断が出来なくなっている証拠でしょう。
東電の示さなければならないのは、“フローチャート”です。そのフローチャートを作るためには、リスクアセスメントの基本に忠実に行わなければなりません。
建設現場をはじめとして、生産現場では、作業前のKY活動はもう、末端の作業員にまで定着しています。
1 どんな危険が潜んでいるか
2 これが危険のポイントだ
3 あなたならどうする
4 私たちはこうする
この4段階が基本です。
原発事故の収束には、まずなにをやらなければならないか、をリストアップします。
そして、それぞれに、その問題点をリストアップします。そして、その解決方法もそれぞれ予想します。
こうした、あらゆる場面の想定をした上で、その作業内容、その評価をフローチャートにして、公表すればいいのです。
東電だけでは、その予想がつかないものもあるでしょう。これを発表することによって、外部からの意見をとりいれ、その度ごとに修正していけばいいのです。
すくなくても、現場で、作業の会議をしている場所に、大きなパネルに書き込んでいって、それを、毎日、テレビが映していれば、状況の共有ができ、東電も情報隠しの汚名を着せられずにすみます。
原発の事故に対する基本は、“とめる” ”ひやす” ”とじこめる” と専門家は言っています。
しかし、この事故では、“ひやす”ができないと、いとも簡単に、“どじこめる”を放棄してしまいました。
いわゆる技術者の、ひとつの問題を解決するために、全体が見えなくなってしまった実例です。
そこには、基本を守ろうとする重い判断力を持つ管理者の不在も見えてきてしまいました。
危機管理とは、何かをもう一度、確認してほしいと、ただひたすらに願うばかりです。
コメント