旧石川組製糸西洋館
今日が、公開日なので、雨の中、入間市へ行ってきました。駅から5分ほどあるくと、国道16号線沿いに、“旧石川組製糸西洋館”があります。現在は入間市の所有です。
この建物は、石川組製糸の創始者石川幾太郎が建設した、迎賓館機能をもたせた西洋風木造建築と、パンフレットには書かれています。
上棟は大正10年7月7日で、設計は室岡惣七、建築は宮大工の関根平蔵だそうです。
2階に和室が2部屋ある以外は、すべて洋室となっています。本館は、あまり改造されずにそのままの状態のようですが、手入れが悪く、天井はシミだらけ、さまざまな模様をした壁紙もシミがいたるところについていました。
窓もほんの一部を除いて当所の木製建具の両開き窓になっていますが、塗装が剥がれ落ちていまにもこわれそうでした。木製建具に嵌まっているガラスは、ゆがみがある硝子ですが、もうこの時期は、機械生産で作られたもののようです。
今回の目的は、2階大広間にはまっている、ステンドグラスです。引き違いの窓2箇所に花をデザインした硝子がはまっていました。この窓は、内部の窓で、外からは見えない位置にあります。
説明によると、左から、蘭・梅、右は竹・茶の花と実 と書かれていますが、お茶の花と実はこんな形と色をしているのでしょうか。
製作は、田辺千代氏によると、東京玲光社の三崎彌三郎だということのようです。三崎彌三郎は宇野澤ステンドグラス製作所から独立した人で、京都高等工芸学校(今の京都工芸繊維大学)で日本画を谷口香嶠・竹内栖鳳から教えをうけています。
三崎彌三郎の作品を以前見ていました。それは、本郷の老人ホームでみた、旧十河邸に嵌まっていたステンドグラスです。田辺千代氏によると、三崎の仕事の資料を所有していて、それによるとこれも三崎の作品なのだそうです。田辺によると、三崎のデザインは鋭角な形になっているのだそうです。
この4枚のステンドグラスは、何とはなく、小川三知に共通するデザインのようにも見えます。日本画の技法を習熟している人のデザインという感覚が現れているようです。
小川三知の製作とされている川越の旧山崎家別邸に嵌まっているステンドグラスと何か共通点があるようです。この山崎家別邸は4月に公開したのですが、抽選による申込なので、残念ながら見られませんでした。ここも川越市の所有になったのに、なかなか公開してくれません。
しかし、この洋館は、もう手入れが必要な時期に来ています。天井のシミは、かなり雨漏りがしている証拠です。内裝の木材は、よく磨かれていますが、壁や、木製建具はかなり傷んでいます。
それにもまして、ステンドグラスは、一部湾曲していますし、数カ所でヒビが入っています。ちょっと放置できない状況です。
手摺模様(糸巻)
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