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2015年7月26日 (日)

東京都庭園美術館

ご無沙汰です。およそ半年ぶりになります。その間、いろいろと出かけて見聞を広めていましたが、一度、筆を遠ざけると、なかなかその筆を持つ気になりません。もっと、ざっくばらんに書けばいいのでしょうが、調べ足りないことがあると、それがネックになって、筆がすすまなくなります。<>

読者の皆様からは、どうしたのか?とご心配のメールもいただき心苦しくおもっていました。なんとか、そのこだわりも捨てて、不完全であっても、独断と偏見があってもとりあえず、書いておこうと思うようになりました。

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それで、再開の第一弾は、目黒にある東京都庭園美術館で開催されている『アール・デコの邸宅美術館』展です。この展覧会は、旧朝香宮邸の内部をそのまま見せるという展覧会です。今までの展覧会は、本邸の部屋に展示品をおいて見せるというものでしたが、今回は、部屋の意匠そのものを展示する展覧会です。しかも、平日に限って写真撮影可という特典付きです。

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この朝香宮邸ののすばらしさは、アール・デコをそのまま日本に再現してしまったことです。本場のフランスでも、このような意匠、作品がそろっているのは、おそらくないのではないかと思います。

まず、そのアール・デコの目玉は、玄関のラリックのガラスレリーフです。女性像は鋳造で造られ、まわりの花綱模様は、サンドブラストによる彫りこみ、さらに、弗化水素酸による処理をし、その中に色をいれています。

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ラリックは、その他にも、シャンデリアのガラス、鋳造したガラスでつくった照明器具などがあります。

この邸の内部の扉も注目です。これは、カタログによると、エッチングで模様を彫り、エッチング面に色をつけ、その後裏面を銀引きして、鏡にして、扉に貼り付けたようです。したがって、エッチングの施していない箇所が鏡になっています。エッチングにこのような色をつけるというのは、日本にはない発想です。

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その他の照明器具をみれば、そのほとんどは、エッチングによる模様を彫ってはいますが、エッチング面に色をつけるというのはありません。エッチングとは不透明な白い面に模様を浮き上がらせるというものという先入観があったからなのでしょうか。その意味では、アール・デコはすごいということになります。

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今回はとくに、照明器具を注目して見てきましたが、色硝子を使った照明が2箇所ありました。この建物のなかでは、ちょっと異色な感じがします。

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窓硝子は残念ながら、その殆どがアルミサッシに変わっており、中のガラスもゆがみのない現代にガラスにかわっていましたが、一部残っていました。型硝子はほとんどが舶来でしょうが、その当時のものでないのもあるようでした。

それにしても、この建物は、まったく日本らしさのあるものがありません。ありとあらゆるものを舶来品で作り上げているようです。その意味でも、すごい建物です。

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