九州・関西ー仏像、ステンドグラス旅(九州編)
10月31日~11月3日まで旅をしてきました。
今回は、3泊4日と久しぶりの長丁場で、仏像とステンドグラスの見学の旅でした。
4回に分けてその旅行記を記していこうとおもいます。
10月31日
飛行機で熊本へ飛び、熊本県立美術館『ほとけの里と相良の名宝』展へ。
相良地方は、熊本県内でも、よく調べられている地域のようです。
展示の中で、注目したのは、「17 木造釈迦三尊像 阿蘇釈迦堂蔵」です。
中尊は平安後期の定朝様の仏像ですが、脇侍は鎌倉時代 嘉元2年(1304)の銘のある
坐像で、二躯とも半跏趺坐でした。とくに、文殊菩薩坐像は、左足を前に出し、右足は左足の股に置く形式で、三重県の普賢寺の普賢菩薩坐像と同じ坐法です。
鎌倉時代の半跏趺坐の例としては、稀少です。
いそいで、熊本から小倉まで新幹線にのり、荷物を預けて、門司港へ。
門司港駅も古い建物ですが、改修中。駅の前にある旧門司三井倶楽部へ。
ハーフティンバー式の洋館ですが、玄関のランマにステンドグラスがありました。
見学者はすぐには気がつかないようです。
この駅周辺は、レンガ造の建物がいくつかあって、観光地化していますが、そのどれも
窓ガラスは枠ごと入れ替えをしているようでした。
町の中を歩いていくと、高台に3階建の木造建築がありました。
三宜楼という料亭で、取り壊しの危機を地元の有志により保存運動の結果、保存されることになった建物です。竣工は昭和6年ですが、大きな改造もされず、よく残っていました。
とくに、窓ガラスはいわゆるロール跡の残ったガラスで、昭和初期のガラスとしての特徴を示しています。
11月1日
朝はやく宿を出て、小倉城の堀を一周してきました。
残念ながら、天守閣には時間が早く登ることはできませんでしたが、建物は復興天守のみと、ちょっと寂しいお城でした。
そして、公開日に見学の申し込みをしていた 旧松本邸(西日本工業倶楽部)へ、開館の10時前に着きました。
一番乗りで、建物内に入り、まずは、階段室にある3箇所にステンドグラスのもとへ一直線でたどり着きました。
写真では、もっと小さい窓だと思っていましたが、なかなかの大きさでした。絵柄はブドウですが、中央の窓の木が両脇の窓にまで枝が広がっている図柄になっています。
さらに、よく見ると、葉の表現にもさまざまな工夫が施されています。色の違うオパールセントグラスだけではなく、型模様のある緑の色ガラスも使っています。
葉の形状も入り隅を多様している切り方をしており、かなり高度なテクニックを駆使したデザインをしているようです。
館の説明によると、和田三造のデザインとしていますが、田辺千代は、小川三知の遺品にこのステンドグラスの写真があったことを根拠として、小川三知作としています。
この洋館は明治43年竣工ですが、隣の和館を大正7年に改修しており、その時にステンドグラスを入れたとしています。
たしかに、印象としては小川三知のデザインと技法に共通する要素はありますが、もっと確かにするためには、その証拠としての小川三知の遺品の公開が必要でしょう。
そして、すぐに、新幹線に飛び乗り、新大阪へ。
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