樟徳館(旧森平蔵邸) 大阪府東大阪市 昭和14年竣工 令和6年11月見学
樟徳館は、森平蔵が昭和7年から14年にかけて建設した自宅で、死後、自ら創設した樟蔭学園に寄贈されました。4年ごとの公開でしたが、コロナにより一回中止になり、8年ぶりの一般公開となりました。木材商であったため、ふんだんに銘木を使用した建物です。
注目すべきガラスは
①応接室の三連窓のステンドグラスとサンドブラストの椿模様
②応接室出入り口ランマのステンドグラス
③食堂出入り口の三連ランマのサンドブラストの雲ツバメ、梅模様
④食堂出入り口のランマのサンドブラストの梅模様
⑤広縁突き当たりの窓のサンドブラストのコンポジション模様
⑥居間床の間横の壁の窓のサンドブラストの模様
⑦次の間の暖炉両脇の戸棚の三連引戸のサンドブラストの蔓草模様
これらをひとつづつ見ていきますが、この樟徳館で使われている模様彫りの技法は、板ガラスにマスキングをして、模様を切り抜き、サンドブラストで硝子を彫り込む方法です。いわゆる”エッチング”は、それからさらに、フッ化水素酸によって、サンドブラスト面のギザギザをならす工程を加えます。この樟徳館のサンドブラスト加工は、フッ化水素酸を使ってはいません。サンドブラスト加工も、”段彫り”という技法を使い、数回にわけてマスキングの位置を変えてサンドブラストを行って立体的な模様に仕上げています。
①、②応接室のステンドグラス
地に黄色のキャセドラルガラスを用い、花や葉にオパールセントグラスをつかっています。
①、②応接室のサンドブラスト加工窓
三連窓は、両脇の縦半分と中央窓に、下半分をボカシ加工とし、さらにその上に段彫りのサンドブラスト加工をして椿の花を表現し、花弁や葉脈を立体的に見せています。彫りはかなり深そうです。
③、④食堂ランマのサンドブラスト加工
地には、ピルキントンでいう”PLAIN CATHEDRAL"という凹凸の少ない型ガラスを使っています。さらに、表(凸凹でない面)には一枚一枚面取り加工をほどこし、裏(凸凹面)からサンドブラスト加工をしています。とくにツバメ、梅の雌しべは段彫りをしています。雲はボカシをつかっています。型ガラスの凹凸面にサンドブラストで模様を彫るには、彫刻面を平らにするため薄く施すことが出来ずある程度の深さが必要となります。
⑤広縁突き当たりの窓
この窓だけ、洋風なデザインをしています。縁には、細い線を段彫りをして一段深く彫り、アクセントをつけています。また、サンドブラストも薄いのと普通のと2種類を使い分けています。
⑥床の間横の壁の窓
これも、地が”PLAIN CATHDRAL"のガラスに、段彫りで凹凸面からサンドブラスト加工をしています。
⑦暖炉両脇の戸棚の引戸
全面にケシ加工をした後、蔓草模様のサンドブラスト加工をしています。葉には、薄くかけたのと、蔓と同じ深さに彫った2種類があります。模様は上の両開き扉と統一しています。
参照:Facdbook「古い板硝子」https://www.facebook.com/groups/4889876824428552/
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